最終年度において、帯電したシリカナノ微小球を、直流・交流電場によって真空中に捕捉・浮遊させ、その重心運動を冷却する実験について、パラメータの最適化を行った。CMOSカメラを高速に動作させ、微小球からの散乱光を測定する。その結果をマイクロコントローラでリアルタイムに処理し、微小球の座標を推定する。この結果をさらに処理することで速度を推定し、速度に比例する力をフィードバックすることで、重心運動の冷却に成功した。この成果について国際共同研究論文として報告した。真空度に応じた冷却の効率や、位相依存性などの詳細についても併せて報告している。 また、昨年度に引き続き、マイクロメートルサイズの微小球について、数種類の異なる大きさの試料を用いてWhispering Gallery Modeの評価を行った。
研究期間全体を通じて、当初の計画とは異なる手法ではあるものの、当初目的の一つである、真空中に浮揚した微小球の重心運動冷却を実現することができた。これは、微小球を帯電させた上で、交流電場と直流電場によって3次元的に捕獲を行った状態で、電場を用いて力を加えることで達成された。また、冷却手法として、CMOSカメラとマイクロコントローラを用いるという新しい発想に基づく手法を提案することができた。現在の到達温度の限界は、振動などの外的要因による加熱の影響と考えられる。さらに、当初計画していたた手法を実装するために必要な、試料の基礎光学特性の評価についても終えることができた。
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