研究課題/領域番号 |
18KK0389
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
阿部 拓郎 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (50435971)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2022
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キーワード | 超平面配置 / 対数的ベクトル場 / 対数的微分加群 / Liouville複体 / D加群 / 自由配置とSPOG配置 / 多重配置 / 双対性 |
研究実績の概要 |
本年度も、本計画の核であったセビージャへの長期渡航は、コロナウイルスの世界的な蔓延により実行することができなかった。実際問題としてこの二年間の延期により事前準備を行うことが不可能であり、渡航については更なる綿密な再検討が必要とされている。 このような状況により、D加群とLiouville複体との関係を軸とした研究は個人ベースで進めるしかなく、この点については大きな進展は得られていない。他方、Graham Denham氏との国際共同研究については、極めて大きな成果を得ることができたため、それについて詳述する。 Liouville複体において大きな役割を果たす超平面配置の対数的微分加群の構造は、自由である場合以外はほとんど謎に包まれていた。これについて昨年度の研究で、自由配置に一枚加えた配置の場合、その対数的微分加群は自由もしくはSPOG配置という、極めて良い性質を持つ配置であることがわかっていた。これを一段と推し進め、多重配置と呼ばれる代数幾何的に自然な超平面配置の一般化に対しても、自由多重配置から重複度を一つ増やした場合はやはり自由もしくはSPOG配置であることが分かった。更にこの応用として、応募者が2018年度に発表していた自由配置の加法定理の組み合わせ依存性の証明を相当程度簡易化することに成功した。これは対数的ベクトル場と対数的微分加群という、双対の関係にある二つの加群の同じところと違うところとを巧みに行き来することで得られる結果であり、この結果が本研究分野において新しく有用な手法を提供することを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
セビージャへの長期渡航がコロナ禍でできず、関連する海外への渡航や招聘もまったくできなかった2021年度であり、本計画の核となるべき点が実行できなかったため、若干の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
まずは延長された研究基幹を生かし、セビージャへの長期渡航計画を練り直す。事前準備がゼロに戻ってしまった状況であるが、渡航計画を何とか練り直したい。ただしコロナウイルスの蔓延状況にどうしても依存する部分が大きいため、状況を見極め、オンラインツールの利用と組み合わせて、柔軟に対応する。 Denham氏との共同研究は極めてうまくいっており、更にZiegler予想という長い間の未解決問題へのアタックを開始している。解決への道も見えており、2022年度中に同氏を訪問あるいは招聘するなどして、一気に解決へたどり着きたい。
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