本研究は、第一原理計算により、準結晶基板上に基板の構造を模して成長する、単一元素のみからなる準結晶超薄膜の成長機構を解明することを目指して行ったものである。計算によって特定したBiの吸着構造から走査型トンネル電子顕微鏡像を計算し、表面緩和の効果や実験で観測されない原子層について議論した。準結晶表面をバンド計算で扱う際のクラスタ近似の誤差を見積もった。構造緩和計算により、表面緩和の効果を検証し、基板準結晶の基本構成単位である四面体クラスタが表面層においても安定であることを見出した。基板準結晶の近似結晶であるAu-Al-Tb近似結晶(111)面で観測された表面再構成を確認した。
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