研究課題/領域番号 |
18KK0393
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研究機関 | 神奈川県立生命の星・地球博物館 |
研究代表者 |
松本 涼子 神奈川県立生命の星・地球博物館, 企画情報部, 学芸員 (00710138)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2021
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キーワード | アルバノペトン類 / 両生類 / 首 / 機能形態 / 進化 |
研究実績の概要 |
四肢動物が水から陸へと生活圏を移行する過程で、四肢と共に首を獲得した。首は、体幹に対する頭部の自由度を高め、陸上での捕食や知覚行動に重要な役割を果たした。しかし、初期四肢動物の首の可動性はどのように進化し、陸への適応を果たしたのだろうか。現生両生類は上下方向に首の可動域が制限されるが、絶滅両生類アルバノペトン類は高度に陸生適応し、高い首の可動性を持っていたと考えられている。すなわち現生両生類は、進化の過程で首の可動域が制限されたことになる。本研究では、アルバノペトン類の筋骨格モデルから可動域を復元し、生息環境に応じた首の可動性の増大と抑制の意義を議論し、両生類進化の一遍を解き明かすものである。 アルバノペトン類の筋骨格モデル構築の基礎データとして、現生のサンショウウオのうち運動様式の異なる6種のCT撮像を国内で行なった。検体1個体につき2回撮像し、1回目に骨格情報を獲得し、2回目は検体をヨウ素染色して撮像することで軟組織情報を取得した。現在、三次元立体構築ソフトを用いて、これらのCT画像から、骨格と主要な筋の三次元情報を抽出している。大きな検体については、実際に解剖し後頭部の筋の付着位置や走行の情報を記録した。今後、これらの情報からアルバノペトン類の筋の復元を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度は渡航しなかった。国内において、本研究に必要な解剖及びCT撮像を行った。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウィルス感染症拡大のため、2020年4月に予定していた渡航が延期になり、ロンドン大学における外国人研究員の受け入れも当面許可されていない(2020年9月現在)。渡航が可能になり次第渡航し、パリ自然史博物館で標本を借用し、バーミンガム大学で撮像する予定である。当面、フランスとイギリス間の移動が難しいことから、標本の郵送または、パリでのCT撮像を依頼しデータのみの郵送を検討している。現生両生類については、国内で行ってきた筋肉のヨウ素染色だけではなく、軟骨を染色する手法について、エバンス教授の指導を受け新たに導入予定である。
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