新規分子の構造解析は研究全体のボトルネックとなりうる段階であり、特に極性分子や中分子に対して実用的な解析法は限られている。我々はVCD(赤外円二色性)を用いた各種分子の構造解析を達成してきた。本国際共同研究ではVCD分光法と相補的なROA(ラマン光学活性)も用いて、スペクトルの理論計算ひいては構造解析をより正確かつ汎用的に行う方法の開発に従事した。ROA研究を通じて、測定対象の分子と溶媒の相互作用をより厳密に考慮するスペクトル計算を実施するとともに、本法をVCD分光分析にも適用することによって信頼性と適用範囲が広い構造解析法の開発を行った。
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