2022年度は,旋回乱流燃焼において安定モードから燃焼振動へと遷移する際の燃焼特性の検討に加え,機械学習により火炎特徴構造の抽出及び燃焼振動遷移の予測法の構築を行った.さらにこれらの知見に基いて燃焼制御手法を構築し,誘電体バリア放電プラズマアクチュエータ(DBDPA)を用いて乱流火炎および燃焼器内の圧力変動の抑制効果を明らかにした. 燃焼振動に関わる擾乱エネルギー収支の検討のためコヒーレント反ストークス・ラマン散乱 (CARS)及び平面レーザ誘起蛍光法(PLIF)に基づく化学種濃度及び温度の計測手法の構築を進めた.Purdue大学Lucht教授とともにBox dual pump CARSを構築し,複数化学種濃度と温度の高精度同時計測法をメタン・水素・空気火炎に適用することで,火炎構造への水素混合割合の影響の検討を進めた.今後もウェブ会議などを活用して連携を進める予定である. 本研究課題では,二つの海外研究機関と本国での研究活動を通じて, 3気圧程度までの希薄乱流予混合火炎において複合レーザ計測を実施し,特にせん断層の間欠的な渦放出と大域的な火炎構造との変動の位相遅れ特性や,乱流火炎変動特性と燃焼器形状に起因した流動変動特性との関係を機械学習の先端的解析手法を導入しながら明らかにした.さらにCARSによりカーボンニュートラル促進に向けた水素と炭化水素燃料の混焼における層流火炎構造特性を検討し,乱流火炎における乱流に対する火炎の応答特性を検討するデータ取得を進めた.これら火炎構造に関する研究を進めながら,燃焼制御法の構築を進め,海外研究機関訪問においてナノ秒放電プラズマによる燃焼反応促進を主体とした火炎安定化手法の検討を行うとともに所属大学においてDBDPAによる流動制御を主体とした火炎安定化手法の検討を行った.得られた火炎構造特性と制御特性から新たな制御手法の着想を得た.
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