研究実績の概要 |
本研究課題は、スペイン バスク大学のグループと共同で、介在物が内部分散したプラスチック光ファイバーの変形に伴う、内部での介在物の配向がファイバー伝搬光に与える影響を調査するものである。本研究の目的は、ケーブル形状である光ファイバーのさまざまな変形挙動を、出力光信号としてユニークな方式で検知する機構のプラットフォームを構築することにある。将来的には、プラスチック光ファイバーのかとう性、低温での成形しやすさ、大口径、人体親和性などを生かした土木、医療、その他の広域な分野へセンシングデバイスとしての拡張が見込まれる。 スペイン バスク大学では慶應義塾大と共同で蛍光色素が内部に分散したプラスチック光ファイバーの断面方向の色素濃度分布を実験的に調べた報告を行っている[Parola et al, J. Lumin. 177 (2016) ]。この解析手法はVariable Stripe Length(VSL) 法をグレーデッド型プラスチック光ファイバーへ適応したものであり、ファイバー側面から内部の蛍光色素の励起を行い、放射光をファイバー端から検出している。 当研究室では、クラッドとコアにそれぞれ異なるドーパント蛍光体を添加し、クラッドからの放射光をコアの蛍光体の励起に用いるような構造を提起している[Hirose et al, Jpn. J. Appl. Phys. 59 (2020)]。本共同研究で目指す成果の一例として、このバスク大学の手法を拡張して上記構造での励起効率、ひいてはファイバー変形に帰着させた出射光スペクトルの考察が挙げられる。この例に加え、当研究室で提起して作製される他の構造の介在物分散プラスチック光ファイバーの解析や応用検討なども包括的に共同で進めることが、本課題の活動骨子となる。
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