研究課題/領域番号 |
18KK0403
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
臼杵 深 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (60508191)
|
研究期間 (年度) |
2019 – 2021
|
キーワード | FDTD法 / 近接場光学 / エバネッセント波 / 光位相共役 / デジタル位相共役鏡 / 位相シフト干渉法 / SLM |
研究実績の概要 |
提案手法についてFDTDシミュレーションによる理論検討を行うと共に,デジタル光位相共役鏡のプロトタイプの開発を行った. FDTDシミュレーションにおいては,光位相共役によりプリズム上のエバネッセント波の散乱光源であるナノ粒子の位置に時間反転波が集光していることを確認した.光源波長532[nm],ナノ粒子の径がd=100[nm]の場合,およそ200[nm](半値全幅)の集光径が得られ,光位相共役によるサブ波長集光(回折限界を超える分解能に相当する)を確認できた. デジタル光位相共役鏡のプロトタイプの開発においては,まず,位相シフト干渉法による物体光の波面計測システムを開発した.次に,計測した波面の位相情報を反転(複素共役)させた波面を計算し,その位相パターンをSLM(空間光位相変調器)に入力することで,SLM面に入射した参照光を反射させた.この時,参照光を物体光の伝搬経路へ反射させることでこの光は物体光と同じ位相分布を持ち,進行方向のみ異なる時間反転波として出射される.物体光路に位相物体を配置してその波面の歪みを記録し,その光位相共役波を再生することで,再度位相物体を通過した際に歪みを打ち消すことを確認することで,システムの検証を行った. また,海外共同研究者のProf. Yidong Tanを招へいし,研究発表会を実施して情報交換を行うとともに,高精度波面計測制御およびデジタル光位相共役鏡開発の研究(理論,実験)についての助言を受けた. さらに,本研究から派生する発展的な研究として,近接場光共役散乱レンズによる高分解能光パターニング手法を提案した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
提案手法についてシミュレーションにより有効性を確認するとともに,本研究の実施のために必須の技術であるデジタル光位相共役鏡の開発を進めることができた.
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度に予定していた渡航が新型コロナウイルス感染症の影響を受け延期となったため,実際の渡航までの期間は,渡航後に迅速に研究の実施にとりかかることができるよう準備を整えると共に,発展的な研究として新たに提案している,近接場光共役散乱レンズによる高分解能光パターニングに関する研究を推進させる. 渡航中は,これまでに開発したプロトタイプを基に,渡航先外国機関において,近接場光学と光位相共役に基づいたサブ波長ピッチ空間変調照明生成システムおよび光イメージングシステムの開発を行う.
|