研究課題/領域番号 |
18KK0404
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松岡 健 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (40710067)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2021
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キーワード | デトネーション / 反射往復デトネーションサイクル |
研究実績の概要 |
最も激しい燃焼モードである爆轟波(デトネーション波)を用いたデトネーションサイクル(DC)は既存燃焼サイクルで最高の理論熱効率と高速燃焼による燃焼器の小型化を実現する。本研究グループは、応募者が実証プログラム統括者として、2013年にデトネーションエンジン(DE)の飛行試験を成功させ、JAXA観測ロケットS520-31号機を用いた世界初のDE宇宙実証計画へと展開している。基課題(若手研究(A))では、能動的デトネーション制御手法であるパルスDCに着目し、既に数値目標である気体力学的上限周波数の70%を達成している。 本研究では、新たに提案した受動的デトネーション制御手法である反射往復型デトネーションサイクル(RSDC)に対して、デトネーション研究の第一人者であるCalifornia Institute of Technology(Caltech)のJoseph E. Shepherd教授と共同でその伝播維持機構および工学的長所を明らかにする。本研究により、能動・受動制御型デトネーションサイクルを世界に先駆けて確立する。 当該年度は、共同研究で必須となるRSDC基本特性を把握するため、名古屋大学の設備を用いた以下の2種類の燃焼実験を実施した。 (1)燃料、酸化剤の質量流量および当量比を変化させ、高速度カメラを用いた自発光可視化実験をた。その結果、質量流量が小さい場合にデトネーション波が発現し、質量流量の増加とともにデトネーションからデフラグレーションへと伝播形態が変化した。また、取得した可視化画像のFFT解析により各モードを定量的に分類した。 (2)上記の各モードにおいて推力測定実験を実施し、総合推進効率である比推力(推力/推進剤質量流量)を評価した。その結果、計測量の不確かさが大きく、モードの変化に対する差異(デトネーションモードで高い比推力)は確認されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、反射往復デトネーションサイクル(RSDC)の伝播機構の解明である。本目的に対して必要なRSDCの発現条件の把握(推進剤質量流量や当量比の感度確認)、モード分類の定量評価手法の確立を達成できた。本成果より、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまで得られた成果を基に、国際共同研究を加速させる。Joseph E. Shepherd教授と共同で、理論解析を進める。実験では、燃焼器の幾何学的パラメータの伝播モードへの影響を自発光およびシュリーレン光学系を用いてより詳細に調査する。また、推力測定実験では、評価量である推進剤質量流量及び推力の測定精度を向上させ、デトネーションモードでの優位性を示す。
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