炭素粒子を熱媒体・タール捕集粒子として使用した際の、気泡流動層ガス化炉における付着炭素とチャーの850 ℃付近での水蒸気ガス化の反応性について実験した。ダウナー型熱分解炉直下にBFBガス化炉を接続した実験条件下で熱媒体兼 Tar 吸着剤として炭素粒子を用いた石炭ガス化実験を行った。 <2019年度に得られた知見> 生成したガスの経時的な定性及び定量分析によりガス転化率の時間変化を解析した。供給した炭素の粒子量が少ない領域では、炭素粒子比の増大に従い、初期ガス化速度が上昇した。ある一定以上の炭素粒子を供給した場合は、炭素粒子比に関わらずほぼ等しくなることを確認した。また、ガス化反応後の炭素粒子を SEM 観察することで、使用した炭素粒子比が小さいほど、付着炭素が多く存在することを確認した。さらに、GC-MSで付着炭素を測定した結果、供給した炭素粒子の量が多いほど、付着炭素の分子量が小さくなる傾向があることが分かった。H2OとCO2で活性化したチャーを用いて、タールの改質反応を行った。タール改質反応の後のチャーには、H2Oを用いた場合の方がCO2を用いた場合よりC-O構造が多く存在したことから、これがH2Oでのタール改質活性が高いまま維持されていた理由であると考えられる。 <2020年度に得られた知見> Loy Yang炭を用いた初期熱分解での生成物と炭素粒子の相互作用についての分析と考察を進めた。炭素粒子表面の化学種を拡散反射FT-IR法で測定したところ、炭素粒子表面ののカルボン酸-OHおよびC=O結合がわずかに増加していることが分かった。これは水蒸気ガス化または熱分解において、OH中のOが炭素表面で使われているということを示唆している。 また、炭素の反応性は、チャー >>> ガス化後の付着炭素 > 熱分解後の付着炭素 > 炭素粒子、の順であることを実験的に明らかにした。
|