ITER級パラメータ条件における非接触プラズマ中の非拡散的輸送研究

2023 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 18KK0410
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 田中 宏彦 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (60609981)
• 研究期間 (年度): 2019 – 2023
• キーワード: 非拡散的輸送 / 非接触プラズマ / Magnum-PSI / 揺動解析 / 静電プローブ / 高速カメラ / 再結合フロント / ダイバータプラズマ

研究実績の概要

本国際共同研究では、ITERダイバータ領域に匹敵するプラズマパラメータ・磁場強度を有する直線型超電導装置Magnum-PSI（オランダ、DIFFER研究所）を用いて揺動データセットを取得し、非拡散的輸送の実験条件依存性を調査する。パラメータ領域や磁場構造の異なる国内複数装置（NAGDIS-II, GAMMA 10/PDX, LHD）で得られた結果と比較することで、ITERや原型炉といった将来装置における輸送特性を外挿評価することを目的としている。
2023年度は、オランダDIFFER研究所へ2回訪問し、2022年度に取得した1.2Tの強磁場環境における接触－非接触状態遷移時の揺動データを解析した。径方向周辺位置に固定された静電プローブ信号と発光信号の解析から、強磁場環境においても、弱磁場環境と同様に非拡散的な輸送が非接触状態時に増大して現れていることが明らかとなった。また、国内の直線装置NAGDIS-IIを用いて開発したトモグラフィ手法を、Magnum-PSIの揺動データへと適用し、プラズマ放出時の磁場直交面内における発光分布の再構成を行った。さらに、今後のDIFFER研究所との共同研究体制の継続と発展を見据え、静電揺動計測系の拡充と、データ解析プログラムの整備を行った。
加えて本研究では欧州滞在の利点を活かし、ドイツ・マックスプランクプラズマ物理研究所に続けて訪問を行い、同研究所所有のステラレータ装置W7-Xへの多変量解析手法の適用について議論を行った。
NAGDIS-IIにおけるトモグラフィ解析の内容を学術論文として出版し、Magnum-PSIへの適用および強磁場環境の解析結果をPSI国際会議（2024年5月）にて発表した。

研究成果

• [国際共同研究] Dutch Institute for Fundamental Energy Research(オランダ) (2023)
  • 年月日: 2023-09-01 – 2023-09-22 | 2024-03-102024-03-14
  • 国名: オランダ
  • 外国機関名: Dutch Institute for Fundamental Energy Research
  • 主な海外共同研究者名: Ivo Classen
  • 職名: Group leader
• [国際共同研究] Max Planck Institute for Plasma Physics(ドイツ) (2023)
  • 年月日: 2023-08-28 – 2023-08-31
  • 国名: ドイツ
  • 外国機関名: Max Planck Institute for Plasma Physics
  • 主な海外共同研究者名: Marcin Jakubowski
  • 職名: Senior scientist
• [雑誌論文] Four-dimensional conditional averaging tomography of rotating plasma ejection from cylindrical detached plasma (2024)
  • 著者名/発表者名: Tanaka Hirohiko、Kajita Shin、Natsume Hiroki、Ohno Noriyasu
  • 雑誌名: Scientific Reports 巻: 14 ページ: 9329
  • DOI: 10.1038/s41598-024-59182-5
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Plasma rotation and axial flow velocities in Magnum-PSI from cross-correlation measurements (2023)
  • 著者名/発表者名: Costin C、Mihaila I、van der Meiden H J、Tanaka H、Scholten J、van Eck H J N
  • 雑誌名: Plasma Sources Science and Technology 巻: 32 ページ: 075010～075010
  • DOI: 10.1088/1361-6595/ace5d2
  • 査読あり / 国際共著
• [学会発表] ダイバータプラズマ模擬装置における非接触プラズマ中を伝搬する熱パルスの特性変化 (2024)
  • 著者名/発表者名: 林祐貴, 田中宏彦, 梶田信, 皇甫度均, 大野哲靖, J.W.M. Vernimmen, J. Scholten, H.J. van der Meiden, I. Classen, T.W. Morgan
  • 学会等名: 日本物理学会2024年春季大会
• [学会発表] 非接触プラズマ回転放出現象の４次元条件付き平均トモグラフィ (2023)
  • 著者名/発表者名: 田中宏彦, 梶田信, 夏目祥揮, 大野哲靖
  • 学会等名: 第40回プラズマ・核融合学会年会
• [学会発表] 直線型装置およびモデリングを用いた中性粒子温度が非接触プラズマ形成に与える影響に関する研究 (2023)
  • 著者名/発表者名: 林祐貴, 大野哲靖, 田中宏彦, 夏目祥揮, 杉浦健斗, 眞野綾二, 増田翔太, 右田龍星, 澤田圭司, 梶田信, 辻原匡志, 大嶋啓嗣, 荒巻光利, 河村学思
  • 学会等名: 第40回プラズマ・核融合学会年会
• [備考] 研究成果
  • URL: http://www.nuee.nagoya-u.ac.jp/labs/plaene/member/tanaka/jisseki/jisseki.html
• [備考] プログラム公開ページ
  • URL: http://www.nuee.nagoya-u.ac.jp/labs/plaene/koukai/purakaku85/
• [備考] プレスリリース
  • URL: https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2024/04/post-657.html