研究課題/領域番号 |
18KK0411
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡邉 哲 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80402957)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2021
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キーワード | Soft MOF / スプレードライ / コアシェル粒子 |
研究実績の概要 |
柔軟性多孔性配位錯体(Soft Metal-Organic Framework; Soft MOF)と呼ばれる多孔性材料は,その構造柔軟性がもたらす構造転移に起因する特異な吸着挙動を示すことから注目を集めている。しかし,吸着材としての実用化に向けては,その特異な吸着特性を損なわない成形手法の確立が求められる。本国際共同研究では,Soft MOF粒子を構成要素とした集合体の形成と,その集合体をメソポーラスシリカで被覆する複合化プロセスの構築に取り組む。従来の成形プロセスでは実現不可能な,Soft MOFの特異な吸着機能と高い機械的強度を兼ね備えた吸着材の創製が本国際共同研究の目的である。具体的な検討内容は以下の通りである。 ・中空状集合体の形成および集合体構造を制御可能な自己集積プロセスの開発 ・メソポーラスシリカによる集合体の被覆と吸着特性および機械的強度の評価 初年度はまず,Soft MOF集合体構造の形成プロセスについて検討を行なった。形成手法としては,生産性を考慮して,スプレードライ法を採用した。対象とするSoft MOFとして,層状構造を有するELM-12を合成し,得られた懸濁液を遠心分離によって濃縮した。スプレードライ過程の,噴霧温度,流量,懸濁液濃度を変化させ,得られる集合体の形状を電子顕微鏡により評価した。その結果,条件を適切に設定することで,球状に近い集合体が形成されることを見出した。一方で,スプレードライ法を適用するためには,懸濁液の粒子濃度は5-15wt%と,非常に高くなければならない。現在は,遠心分離によって濃縮しているが,調製に時間を要する。したがって,高濃度懸濁液の直接的な合成方法について,今後,検討が必要と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究実施計画に沿って検討を行い,ほぼその目的を達することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
現在は,新型コロナの影響で渡航が困難であるが,渡航先でのスプレードライ法を用いた実験的検討は,昨年度の取り組みで一定の成果を得ることができた。本年度は,Soft MOF粒子をメソポーラスシリカで被覆したコアシェル型粒子の合成に主眼を置く。合成した粒子は,電子顕微鏡による観察と吸着等温線による評価を組み合わせて,合成条件がシリカシェルの厚み・ガス透過性に与える影響について検討する。また,概要でも述べたが,高濃度懸濁液の合成方法についての検討も実施する。
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