研究課題/領域番号 |
18KK0411
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡邉 哲 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80402957)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2022
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キーワード | Soft MOF / コアシェル粒子 / ゲート吸着 |
研究実績の概要 |
柔軟性多孔性配位錯体(Soft Metal-Organic Framework; Soft MOF)と呼ばれる多孔性材料は,その構造柔軟性がもたらす構造転移に起因する特異な吸着挙動を示すことから注目を集めている。しかし,吸着材としての実用化に向けては,その特異な吸着特性を損なわない成形手法の確立が求められる。本国際共同研究では,Soft MOF粒子を構成要素とした集合体の形成と,Soft MOF粒子ユニットを別の多孔性材料で被覆する複合化プロセスの構築に取り組む。本年度は,昨年度のSoft MOFコア-メソポーラスシリカシェルという複合粒子合成をさらに発展させ,Soft MOFコア-Soft MOFシェルの合成に取り組んだ。本研究ではコアのSoft MOFにはELM-11を,シェルのSoft MOFにはELM-12を選定した。ELM-11とELM-12は互いに類似した結晶骨格を有しているため,コアの表面にシームレスにシェルが成長することが期待されるためである。実験では,合成したELM-11をビピリジンのエタノール溶液に分散させた混合分散液と銅イオン水溶液を混合することで,ELM-11の表面にELM-12シェルを成長させた。得られた粒子のSEM-EDX像から,ELM-11の周囲にELM-12が存在することが確認された。吸着等温線を測定したところ,シェル側のELM-12のゲート吸着が抑制されるという,コアシェル構造の形成による,協働的な構造転移挙動が観察された。Soft MOF同士のコアシェル構造を形成することで,より吸着性能の高い,吸着材の創製へと繋がることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ感染拡大の影響により渡航を実施することができなかったが,今年度も,国内で実施を計画していた内容を優先的に検討したため,総合的に見て,進捗は概ね順調と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
Soft MOF粒子の集合体形成手法の検討と構造制御および吸着挙動の検討を実施する。集合体形成手法としては,スプレードライ法と膜乳化法を検討する。それに加えて,移流集積法による構造形成も候補として検討する。これらの手法を個々に検討し,メリット,デメリットを明確にした上で,集合体形成手法の確立を目指す。
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