本研究では、人工ナノひずみ制御技術を熱電や超伝導だけでなく、電子が有する磁石としての性質(スピン)を利用したスピントロニクスデバイスに発展させることを目指した。2019年度は、①これまで研究してきた銅酸化物超伝導体に新たなひずみを導入する手法を発見し、これにより更なる電気特性向上に成功した。②新たに発見されたニッケル酸化物超伝導体へのひずみの影響を調べるために、還元処理によりナノひずみを制御し、それらが高磁場特性に及ぼす影響を調べた。③酸化物強磁性エピタキシャル薄膜へのひずみを印加・制御するため、異なる基板上に酸化物強磁性薄膜を作製し、磁化の温度依存性に及ぼす影響を調べた。④磁気抵抗メモリ応用に期待されているトポロジカル絶縁体/磁性薄膜へのひずみを印加・制御するため、異なる基板上に作製し、スピンホール角、スピンホール伝導率、磁化反転電流密度にそれらが及ぼす影響を調べた。
|