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2022 年度 実施状況報告書

木質バイオマス処理技術の高度化に資するマルチスケール構造解析・評価技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18KK0417
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

三木 恒久  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (20415748)

研究期間 (年度) 2019 – 2023
キーワード木材 / 評価技術 / 微細構造 / 物性 / 変形
研究実績の概要

今年度は、木質細胞間のせん断すべりによる塑性流動変形に対する脱リグニンの影響を検討してきた。 脱リグニン木材は、減衰全反射赤外 (ATR-IR) 分光法、核磁気共鳴 (NMR) 分光法、ラマンイメージング解析、および動的粘弾性測定によってキャラクタリゼーションした。 特に、リグニンの化学構造、分布、および分子運動性が木材の変形性に及ぼす影響を評価した。 水膨潤状態の脱リグニン木材は、無処理木材よりも低い圧力で細胞壁を破壊することなく大きく変形した。 流動開始点での応力と木材の変形断面積の 2 つの観点から変形能を評価した結果、脱リグニンおよび未処理の木材は、圧縮中の温度上昇とともに増加した。 脱リグニンの初期段階では、特に細胞コーナーで複合中間ラメラのリグニンが減少することで、流動開始点での応力が減少したと推察した。 ただし、木材の変形断面積は、これらの段階での脱リグニン時間によってわずかに変化した。 脱リグニンが進むと、細胞壁の多糖類付近のリグニンが除去され、変形能が大幅に向上した。 さらに、流動開始点での応力は、圧縮中の温度に関係なく、水で膨潤した木材のリグニンのガラス転移温度に対応する tan δ のピーク温度に比例して増加した。 今回得られた化学的および物理化学的特性と塑性流動変形能との相関関係から、低エネルギーで生産性の高い木材の成形加工の開発に有益であると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウィルス拡大防止のため、引き続き、産総研職員としての海外渡航ができない状況にある。当初計画していた赴任スケジュールを見直しながら、国内で実施できる検討課題を推進してきたが、ようやく令和5年度には渡航できる可能性が見えてきたため、赴任先ともスケジュールを確定していく予定である。

今後の研究の推進方策

赴任先で実施する「空隙構造の評価」について、国内で取得できるデータを蓄積してきたので、それらを基に議論を進める。双方の結果を集約し、取り纏めていく予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] プラスチック含浸木質系複合材料の流動成形技術2023

    • 著者名/発表者名
      関雅子、阿部充、三木恒久
    • 雑誌名

      強化プラスチック

      巻: 69 ページ: 18~21

  • [雑誌論文] 木質系素材の組織構造を活かした三次元成形と複合材料化(木質流動成形)2023

    • 著者名/発表者名
      三木恒久
    • 雑誌名

      月刊BIOINDUSTRY

      巻: 40 ページ: 42~51

  • [雑誌論文] Influence of delignification on plastic flow deformation of wood2022

    • 著者名/発表者名
      Seki Masako、Yashima Yuko、Abe Mitsuru、Miki Tsunehisa、Nishida Masakazu
    • 雑誌名

      Cellulose

      巻: 29 ページ: 4153~4165

    • DOI

      10.1007/s10570-022-04555-0

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 木質系材料の流動現象を用いた成形加工と応用2022

    • 著者名/発表者名
      三木恒久、阿部充、関雅子
    • 雑誌名

      科学と工業

      巻: 96 ページ: 125~133

  • [学会発表] セル構造を再現したマルチスケール有限要素解析による針葉樹材の圧縮特性の再現2023

    • 著者名/発表者名
      小田翔太、久保木孝、阿部充、近藤雅裕、関雅子、三木恒久、梶川翔平
    • 学会等名
      第73回日本木材学会大会
  • [学会発表] 木材の塑性流動変形に及ぼす組織構造の影響2023

    • 著者名/発表者名
      今川皓介、関雅子、阿部充、三木恒久、山口哲生
    • 学会等名
      第73回日本木材学会大会
  • [学会発表] マルチスケール有限要素解析による木材の圧縮特性の再現2022

    • 著者名/発表者名
      小田翔太、梶川翔平、阿部充、関雅子、三木恒久、Eduardo de Souza Neto
    • 学会等名
      日本材料学会第71期通常総会
  • [学会発表] 塑性流動現象に及ぼす木材の組織構造の影響2022

    • 著者名/発表者名
      今川皓介、関雅子、阿部充、三木恒久、山口哲生
    • 学会等名
      第10回ソフトマター研究会
  • [学会発表] 木質系材料の成形加工技術2022

    • 著者名/発表者名
      三木恒久
    • 学会等名
      石川県次世代産業育成講座・新技術セミナー
    • 招待講演
  • [産業財産権] 流動成形用木質系樹脂組成物及びその製造方法、並びに、木質成形体の製造方法2022

    • 発明者名
      関雅子、阿部充、三木恒久、三好貴章、奥村省吾、家田真次
    • 権利者名
      産総研/旭化成
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2022-104467

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公開日: 2023-12-25  

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