研究課題
気孔は一対の孔辺細胞から成る通気口であり、光合成に必要な二酸化炭素の取り込みや蒸散による水分損失を制御する重要な場所である。気孔の開度を調節する孔辺細胞シグナル伝達において、孔辺細胞の細胞質カルシウムイオンは、重要なセカンドメッセンジャーとして機能する。本研究では、この孔辺細胞シグナル伝達においてカルシウムイオンの輸送に関与すると考えられる新規カルシウムイオンチャネル候補因子であるgcCNGCとGCMの機能解析を行っている。異種発現系であるヒト培養細胞HEK293Tやアフリカツメガエル卵母細胞に、gcCNGCとGCMを発現させてパッチクランプ法・二電極膜電位固定法により活性評価を進めてきたが、gcCNGCとGCMの単独発現では、二価カチオン電流を検出することはできなかった。既知の孔辺細胞の気孔閉口シグナル伝達に関わる因子との共発現実験を試験しているが、今のところ有益な結果は得られていない。またHEK293Tにおいて、発現効率が安定せずギガオームシール達成率も低かったため、様々なトランスフェクション法を用いて条件検討を行った。現時点では、ポリエチレンイミンを用いたトランスフェクション法が、最も安定した目的タンパク質の発現とギガオームシール形成を達成している。シロイヌナズナの無傷のロゼッタ葉を用いた孔辺細胞イオンチャネル活性評価系の構築を進めているが、依然として再現のよいデータを取得できるレベルには達していない。
4: 遅れている
新型コロナウイルス感染症の蔓延により当初予定していた渡航が中止となった。しかしオンラインでの共同研究打ち合わせを利用して、総説論文を発表することができた。
共同研究者とメールやオンライン会議を利用したディスカッションを現在定期的に行っており、今度も続けてゆく。状況次第ではあるが、2022年度は渡航予定である。確立したヒト培養細胞HEK293Tを用いたパッチクランプ解析によりgcCNGCとGCMの活性制御因子の絞り込みを進める。共同研究者と協力して、無傷の葉を用いることのできるイオンチャネル活性評価系の構築を引き続き進めていく。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件) 学会発表 (4件)
Nature Reviews Molecular Cell Biology
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