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2020 年度 実施状況報告書

mRNAのエキソン構造制御を介した植物の低カリウム応答機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18KK0426
研究機関佐賀大学

研究代表者

西田 翔  佐賀大学, 農学部, 准教授 (40647781)

研究期間 (年度) 2019 – 2021
キーワードカリウム / 転写因子 / 選択的スプライシング / シロイヌナズナ / 栄養
研究実績の概要

本研究は、シロイヌナズナ由来の転写因子であるMYB59の機能解析を通して、植物の低カリウム(K)応答における遺伝子発現制御機構を明らかにするとともに、MYB59 mRNAにおけるエキソン構造調節を介した低K応答機構の詳細を明らかにすることを目的としている。

1.MYB59の遺伝子発現制御機構の解明:MYB59が転写制御する標的遺伝子を探索するために、Chip-SeqとRNA-Seqの統合解析を行うことを目的としている。今年度は、MYB59pro.:MYB59-GFPを導入した遺伝子組み換えシロイヌナズナ8系統の低K耐性および既知の標的遺伝子であるNPF7.3の発現量を調査することで、本解析に用いる系統の選抜を行った。また、Chip-Seqのための一連の実験系を確立し、Chip-PCRにより解析系が機能することを確認した。

2.MYB59におけるエキソン構造調節を介した低K応答の解明:低Kに応答してMYB59のエキソン構造が調節される意義を解明することを目的としている。低Kに応答したエキソン構造調節により増加するMYB59のmRNAアイソフォーム(MYB59α)は低K耐性に必要であるが、今回、K十分条件ではMYB59αは生育を阻害することが示唆された。一方、低Kに応答して減少するMYB59βは低K耐性を付与しないが、K十分条件において生育に影響を与えないことがわかった。これらのことから、MYB59αはK十分条件では生育を抑制するため存在量が低く抑えられているが、低K条件になるとエキソン構造が調節されることでMYB59αが増加し低K耐性が発現するものと考えられた。さらに、MYB59の下流遺伝子であるKトランスポーター遺伝子NPF7.3は、K十分条件では未知の転写因子により転写されていることも明らかとなった。以上の成果を渡航先の共同研究者と共有した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

解析に必要な材料および実験系の確立を終えた。また、新たな知見も得られ、研究が進展した。

今後の研究の推進方策

1.MYB59の遺伝子発現制御機構の解明
今年度選抜した遺伝子組み換え系統を用いてChip-Seq解析を行う。得られた結果をRNA-Seq解析結果と統合解析することで、MYB59が転写制御する下流遺伝子群を同定する。候補遺伝子のいくつかについてはMYB59による転写調節の再現性を実験的に確認するとともに、それらの変異体を入手する。また、渡航先での情報解析に備え方法論の確立を行う。
2.MYB59におけるエキソン構造調節を介した低K応答の解明
今年度得られた研究結果の再現性の確認を行う。また、Root split試験により、MYB59のエキソン調節は局所的に起こるのか、地上部を介して体系的に起こるのかどうかを調査する。以上の成果を論文として国際誌に投稿する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Elevated expression of vacuolar nickel transporter gene IREG2 is associated with reduced root-to-shoot nickel translocation in Noccaea japonica2020

    • 著者名/発表者名
      Sho Nishida, Ryoji Tanikawa, Shota Ishida, Junko Yoshida, Takafumi Mizuno, Hiromi Nakanishi, Naoki Furuta
    • 雑誌名

      Frontiers in Plant Science

      巻: 11 ページ: 1-11

    • DOI

      10.3389/fpls.2020.00610

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Roles of Non-Coding RNAs in Response to Nitrogen Availability in Plants2020

    • 著者名/発表者名
      Makiha Fukuda, Toru Fujiwara, Sho Nishida
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 21 ページ: 8508

    • DOI

      10.3390/ijms21228508

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Exploration of unknown nickel-containing proteins from plants by liquid chromatography inductively coupled plasma mass spectrometry2020

    • 著者名/発表者名
      Sho Nishida, Aimi Takahashi, Lumi Negishi, Michio Suzuki, Naoki Furuta
    • 雑誌名

      Soil Science and Plant Nutrition

      巻: 印刷中 ページ: -

    • DOI

      10.1080/00380768.2020.1860645

    • 査読あり
  • [学会発表] シロイヌナズナにおいてMYB59のスプライシング調節は地上部Kの恒常性を維持する2021

    • 著者名/発表者名
      西田翔, 榎本拓夫, 田中伸宏, 藤原徹
    • 学会等名
      第62回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] アルミニウム集積植物 Melastoma marabathricumにおけるMATE遺伝子の機能解析2020

    • 著者名/発表者名
      坂口文香, 井健祐, 丸山隼人, 佐々木孝行, 西田翔, 和崎淳, 信濃卓郎, 渡部敏裕アルミニウム集積植物 Melastoma marabathricumにおけるMATE遺伝子の機能解析
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会2020年度岡山大会
  • [学会発表] 低リン耐性植物ハケアが形成するクラスター根の遺伝子発現解析2020

    • 著者名/発表者名
      山田大綱, 西田翔, 和崎淳
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会2020年度岡山大会
  • [学会発表] 赤米とコシヒカリのリンリサイクリング能の違いに関する遺伝子発現解析2020

    • 著者名/発表者名
      齋藤百花, 西田翔, 丸山隼人, 俵谷圭太郎, 和崎淳
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会2020年度岡山大会
  • [学会発表] シロイヌナズナにおけるAHA2およびORP2Bの変異によるニッケル耐性の上昇2020

    • 著者名/発表者名
      西田翔, 岡崎俊樹, 古田直紀
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会2020年度岡山大会

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公開日: 2021-12-27  

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