研究課題/領域番号 |
18KK0427
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中野 晶子 九州大学, 農学研究院, 助教 (10631286)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2022
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キーワード | 地盤改良 / 微生物機能利用 / バイオグラウト / 地盤修復 / バイオミネラリゼーション / 海岸浸食 / 炭酸カルシウム |
研究実績の概要 |
本研究課題は、ベトナム海岸浸食地帯を調査・研究対象として、微生物機能を利用した海岸浸食防止対策のための地盤改良技術の確立を目指している。微生物機能を利用した地盤改良技術の研究開発が活発な米国の研究事例を参考に、米国における共同研究者の助言を受けながら、海岸浸食域の現地調査や室内実験を通して浸食防止対策に向けた地盤改良手法について検討していく計画である。 しかし今年度は、COVID-19(新型コロナウイルス)の全世界感染拡大に伴い、研究代表者は一度も海外渡航できず、ベトナム・ハノイ沿岸域ならびに現地研究機関で予定していた、沿岸域土壌サンプル採取並びに、採取サンプルからの微生物抽出・培養実験の計画は中止となった。 そこで、その代替研究として、日本国内で採取した海砂を土壌サンプルとして、微生物抽出培養、バイオミネラル生成プロセスの検討を行った。 化学的風化を長期間受けたと考えられる海砂を混合した微生物培養液中では、人工破砕し粒径調整された珪砂と比較して、微生物の活性が高い傾向にあった。また、さらに特定の無機物質を付加して表面処理を施した海砂では微生物活性がさらに向上した。これらの検討から、砂の表面性状が微生物反応ならびにそれに続くバイオミネラル生成の発現に大きく寄与することが示唆された。砂粒子表面での微生物の特定の作用が、粒子表面でのバイオミネラルの析出にも影響すると考えらえる。今回得られた知見を、今後より詳細に検討することで、バイオミネラル生成促進の反応プロセスの確立につなげることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は、新型コロナウイルスの世界的感染拡大を受けて、研究代表者所属機関では、学内外における研究活動が大幅に制限され、海外共同研究者の所属機関においても、同様もしくはそれ以上の活動制限が出された。そのため、ベトナム沿岸域における海岸浸食防止に向けた微生物機能による地盤改良技術の研究開発について、当初予定であった、ベトナム(ハノイ)の研究機関における現地沿岸域土壌からの微生物抽出・培養実験の計画が中止され、現在も遂行困難な状況である。 なお当研究課題は、当初2020年度までを予定していたが、上記の理由から2022年度まで期間延長を申請し既に承認されている。
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今後の研究の推進方策 |
当面は海外渡航が困難なため、海外共同研究者とは今後も引き続き、オンライン会議等を通じて研究協力体制を維持しつつも、当研究課題である、海岸浸食防止に向けた微生物機能を用いた地盤改良技術の研究開発について、国内で実施可能な室内実験等に予定を変更して、新たな地盤改良技術の開発に向けた検討を行っていく。 具体的には、国内で採取した沿岸域の砂質土を用い、バイオミネラル生成促進手法について室内実験を通して検討する。自然界で天然に生成する土構造物(ビーチロックや鍾乳洞など)の成因などについて情報収集し、その生成プロセスの応用の可能性を検討する。
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