本課題では、世界中の海底湧水と生物生産過程の研究成果をまずレビューした。その上で、異なる特徴を有した国外を含む4サイトでフィールド調査を実施した。その結果、海底湧水による栄養塩輸送は、植物プランクトンの現存量や一次生産速度を総じて増加させていた。しかし、淡水性地下水が噴出するような場所では、水温が低下するなど、局所的には負の影響を及ぼしているとも確認された。一方、再循環性地下水は、顕著な一次生産の増大に繋がりやすかった。海域全体を考慮すると地下水を含む陸水が、制限栄養塩を効率的かつ安定的に供給していることが、沿岸海域の高い一次生産を維持する仕組みとして重要である可能性が示された。
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