研究課題/領域番号 |
18KK0436
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
丸山 史人 広島大学, 学術・社会連携室, 教授 (30423122)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2022
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キーワード | 非結核性抗酸菌 / 比較ゲノム / ゲノム疫学 / Mycobacterium avium |
研究実績の概要 |
本年度も昨年度に引き続き、COVID-19状況下のために、現地への渡航ができなかった。また、受入研究者の研究環境において、COVID-19感染症が発生したこともあり、進捗が見られなかった。そのため、合計半年渡航のうちの残りである4ヶ月間を現地で過ごし、本プロジェクトを終了する予定であったが、本科研費を延長することで、1年追加して予定通り進めることを目指した。ただし、オンライン、遠隔で可能な共同研究は進めている。現地でしか実施が困難なTn-seq, CRISPRiについては、日本での実施も可能とすることを目指して、日本での環境を整えており、各種委員会の許可及び生物材料の入手などを進めた。その結果、本プロジェクトの協力者とともに菌株の収 集、ベクター、ファージを入手して、菌株の抗生物質耐性やバイオフィルム系性能の確認実験を進めており、Tn-Seqを実施可能な状況になっている。また、本プロジェクトでは、非結核性抗酸菌症の原因菌のうち、日本で大きな問題となっているMycobacterium aviumに焦点をあてているが、このゲノム疫学的な研究がまだ、ゲノムデータが十分ではないことから、さらなる推進が必要であり、国内で様々な由来の菌株のゲノム解析を進めてきた。その結果として、日本の中部地方の病気の豚から、日本の中部特異的な株が見つかった。そして、ゲノム解析の結果、これまでに見つかっていない菌株グループであり、2つの遺伝子配列を用いることで、この新グループを同定できることを確かめた。この成果について原著論文2報にわけて執筆し、1報は出版され、もう1報も投稿済みである。このように、国際共著論文を着実に出版できていることから、残りの渡航で関係性を強め、さらなる大きな国際共同研究へと発展させられるものと期待している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述したように、当初、アメリカで実施予定だった実験を日本国内でも実施可能な準備を進めており、重要な実験の直前まで到達している。また、現地における 4ヶ月間の滞在予定を果たせていないが、渡航は可能となってきている。上述したように、共著論文は順調に発表できており、オンラインでの会議を通じて情報共有、進捗共有は進めており、予定を変更はしているものの達成されている成果を鑑みると研究自体の推進はさほど遅れていない、十分な成果が得られていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
滞在ということを鑑みると、昨年度が最終年度であるものの、COVID-19状況が続いていることから、今年度までのプロジェクトの延長をした。 今年度は、残りの4ヶ月間の渡航するとともに、引き続き、国内で可能な内容の実施とオンラインで可能な共同研究を進める。 また、すでに、比較ゲノム解析に資する十分なデータは保有していることから、これを優先して解析を進めて、Tn-seqなどのwet実験実施時の仮設検定を可能なように進める予定である。
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