研究課題/領域番号 |
18KK0437
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮尾 昌 京都大学, 医学研究科, 助教 (90711466)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2019
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キーワード | 法医病理学 |
研究実績の概要 |
本国際共同研究では、急性心筋梗塞におけるNASHと血管内皮ADAM17の役割の解明を目指す。急性心筋梗塞と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、内皮障害が病態に関連することが分かっている。内皮を含む全身の細胞には、A Disintegrin And Metalloproteinase domain-containing protein 17(ADAM17)が発現しており、このADAM17が炎症性サイトカインのTNFαを活性化させることが知られている。しかし、これまでに血管内皮のADAM17がNASHや急性心筋梗塞発症に関連するかは分かっていない。本研究では内皮特異的ADAM17欠損マウスおよびラット胸部大動脈内皮細胞由来の初代培養細胞を用いて、NASHや急性心筋梗塞発症の関連を解明する。 基課題であるNASHを背景とした急性心筋梗塞への臓器間クロストークの影響は、主に肝臓特異的な血管の類洞内皮に注目した研究であるが、本国際共同研究で標的とするADAM 17は全ての血管内皮に発現され、代表的な炎症性サイトカインのTNFαを活性化させる。また、基課題研究の標的である類洞内皮の病理学的変化を発展させ、全身の血管内皮障害とNASHや急性心筋梗塞の病態が関連するかどうかを解明するため、血管内皮特異的ADAM17欠損モデルマウスの形態・機能変化を解析する。また、ラット胸部大動脈内皮由来の初代培養細胞を用いることで、内皮障害と炎症、細胞老化におけるADAM17の役割を調べる。 当該年度では、ラット胸部大動脈内皮由来の初代培養細胞を用いて、ADAM17がその病態に主に働くことが知られている Angiotensin II 投与をすることで細胞老化や白血球との接着に変化が現れるかどうかを調べるため、B-gal染色とTHP1アッセイを行った。また、細胞老化を誘導することが知られているp16をアデノウイルスを用いてサイレンシングした場合に細胞老化や白血球の接着に変化が現れるかを同様の実験で確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度の計画ではADAM17欠損モデルマウスを用いてADAM17が内皮障害に直接関連するかどうかを解析する予定であったが、動物飼育や管理のエフォートが大きすぎるため、動物実験よりもエフォートを少なく、すぐに実験を開始できる初代培養細胞を用いた細胞老化との関連を調べることとしたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ADMA17がその病態に主に働くことが知られるアンジオテンシンを内皮に投与することで細胞老化や炎症反応、ミトコンドリア障害、小胞体ストレス、プロテインアグリゲイションなどを引き起こすかどうかを解析する予定である。 研究を遂行する上での課題として、ひとつの実験系でのみによる細胞老化評価では、本当に細胞老化といえるかどうか疑問が残るため、B-gal染色以外の実験系で多角的に解析する予定である。
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