研究実績の概要 |
本研究計画では、統合失調症の主訴の1つである「幻覚・妄想」に関して、マウスを用いて評価できる行動実験系の確立および分子・細胞・神経回路基盤の解明を目指す。(1)近年「幻覚・妄想」を評価しうる行動実験として着目した、「ラバーテイルテスト」の立ち上げ及び改良を行った。具体的には、現在報告されている論文(Wada et.al.,2016;Buckmaster et.al., 2020)では、実験工程を手作業で行っており、実験の効率が悪く、改良の必要性を感じた。したがって、実験工程をできる限り自動化するため、マイクロコンピュータArduinoを利用し、プログラミングによる実験工程の自動化を行った。その結果、より効率的にラバーテイルテストを実行できる実験システムの確立ができた。さらに、実験の応答性の改善を試みるために、実験条件検討(尻尾を刺激する速度・時間・回数など)を行った。(2)本研究計画において、「幻覚・妄想」の神経基盤を明らかにするためには、実際の神経活動を記録・解析する必要がある。計画に従い、米国・MITのMichael Halassa博士の研究室との共同研究として、多点電極記録・解析の習得を行うため、5ヶ月間研究室に滞在し、マイクロドライブの作成・テトロードの作成・手術による多点電極の留置・記録システムの見学・解析方法の習得を行った。滞在中は、改めて本研究計画について説明し、研究計画についての助言をいただき、今後の方向性について追加項目などを再検討した。
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