研究課題
2020年3月までMITにて共同研究し、マイクロドライブの作成を習得してきた。帰国後、所属研究室にて、自力で作成を試みる準備を進めた。コロナ禍もあり、予定していた計画通りには進んでいないが、着実に前進している。さらに、幻覚のモデルとしてラバーテイル試験を用いて検討する予定であり、その測定系の立ち上げを行なっている。また、別の手段による幻覚モデルの行動実験系を試行錯誤しながら行なっている。さらに、幻覚の神経基盤としての解剖組織学構造とし て、想定される神経回路を同定するため、候補となる神経回路を神経トレーサーを用いて検討した。また、本研究計画で使用する視床網様核特異的Cre発現マウ スの作成も順調に進んでいる。幻覚はドパミン神経の関与について数多くの報告があるため、dopamine transporter (DAT)-CreマウスとAi9マウス(Cre依存的に tdTomatoを発現する)を交配させ、ドパミン神経の脳内での分布について組織学的解析を行った。その結果、腹側被蓋野や黒質緻密部においてtdTomato陽性細胞 が確認され、既存の報告を確認できた。さらに、当初の予想である脳部位(視床網様核、背内側視床核、帯状回皮質、島皮質)において、tdTomato陽性の神経終末様構造を確認できた。したがって、これらの神経回路のドパミン作用と幻覚との関係性について、今後の計画である、マウスを用いた幻覚モデル行動実験にお いて、これらの脳部位のドパミン神経について光遺伝学あるいは化学遺伝学的手法を用いて人工的に神経活動を制御することでその影響を検討する準備ができた。今年度はさらに、計画を拡張させ、統合失調症モデルマウスとして、申請者が開発したPV-GAD67欠損マウス以外に、MK-801投与薬理モデルや、Poly I:C投与モデルを作成し、行動試験を行い、基本的なデータの取得を行なった。
3: やや遅れている
共同研究中の不在中、飼育していたマウスコロニーを少々縮小していたため、それを再拡大し実験に使用するまでに時間を要した。コロナ禍により、幾分実験計画の変更を余儀なくされたため。
飼育マウスコロニーの再拡大を終え、予算による設備も充実したため、本格的な実験を再開する。マイクロドライブの作成についても不明な点があればウェブに て、共同研究先に助言を求める。ある程度データが揃った時点で、共同研究先への再訪問し、ディスカッションを実施するなどについても検討中である。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件)
Neuropharmacology
巻: 212 ページ: 109065~109065
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