本年度では、生体内におけるHIV-1感染細胞の性状の多角的な解析に取り組んだ。HIV-1感染ヒト化マウスとマルチオミクス解析を実施し、生体内における 「真の」HIV-1感染細胞の特徴を多角的に描き出すことに成功した。本研究で用いた研究手法は、きわめて汎用的であり、さまざまなウイルス研究への応用が可能であ る。つまり本研究は、ウイルスと宿主の新たな関係性の一端を明らかにした研究であり、また、ウイルスと宿主の相互作用のさらなる解明や、エイズの制圧法の 開発に向けた基礎学術基盤の形成に直結する研究であると言える。以上の研究成果を、学術論文にまとめ、Cell Reports誌にcorresponding authorとして発表した。 さらに、本研究を通して構築した解析方法を駆使し、新型コロナウイルスに関する研究も実施し、複数の学術論文をcorresponding authorとして発表した。 具体的には、出現が続く新型コロナウイルスの変異株(デルタ株、ラムダ株、ミュー株、オミクロン株)のウイルス学的性状を包括的に解析し、それらを世界に先駆けて解明した。これらの研究成果は、NatureやNew England Journal of Medicine、Cell姉妹誌などに、corresponding authorとして発表した。 しかし、当課題で予定していた渡航と研究打ち合わせは、新型コロナウイルスのパンデミックにより実行できなかったため、オンライン会議を実施することで代替した。
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