本年度は、研究計画の立案および立ち上げを行った。現時点にて始めている研究は大きく3つに分けられる。 第一に、ヒトの嗅粘膜および、その粘膜における神経の状態を可視化を目標に、ヒトの嗅粘膜での代謝により蛍光の特徴を有する基質の検討を行っている。具体的にはCytochrome P450に着目をし、Harvard medical schoolにて採取されたヒトの嗅粘膜の検体を用いて、呼吸上皮と嗅粘膜を分ける因子の解析を行っている。このヒト嗅粘膜で発現が確認された因子に着目し、マウスでの嗅粘膜の可視化の検討を始めた段階である。 第二に、ヒトの嗅覚障害の治療薬となりうる分子の探索を行っている。具体的にはtufts大学にて確立しているマウスの嗅粘膜幹細胞の培養を行い、これに対してHarvard medical schoolにてHigh throughput screeningを行う予定である。現在は、まずはマウス嗅粘膜の幹細胞を大量に培養する方法および、発現の目安となる蛍光遺伝子の遺伝子導入を行っている段階である。 第三に、嗅粘膜に不可逆的な損傷を引き起こすDichrobenilという薬物が嗅球におけるシグナル伝達に及ぼす影響についての検討を行っている。現在は経時的なモデル動物の作成をしている段階である。 また臨床的な計画の遂行状況としては、手術や基礎実験のセミナー等に参加することで知見を深めた。今後は外来や手術の見学及び臨床的な実験計画にも積極的に参加をしていく。
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