2019年から2020年の1年間、アメリカのボストンのハーバード大学およびタフツ大学に滞在し共同研究を行った。この滞在においては、嗅粘膜の可視化をメインテーマに研究を行い、嗅粘膜特異的なプローブとなりうるCoumarinおよびgGLU-HMRGという2つの物質を同定した。 本年度はこれらの結果のさらなる検討を行うとともに、これらの成果を論文として報告すべく、データの解析およびまとめの作業に取り組んだ。 この研究を続けていていく中で、鼻粘膜において、嗅上皮では呼吸上皮と比較してγ-Glutamyltranspeptidase(GGT)が優位に発現していることが明らかになった。しかしこのGGT蛋白の嗅粘膜における果たす役割は不明であった。本年度はこのGGTに着目をし、嗅粘膜におけるGGTの役割の解明すべく実験に取り組んだ。GGTのサブタイプをふくめた嗅粘膜での発現を検討するとともに、嗅粘膜の障害モデルにおいてGGTのアゴニスト、アンタゴニストをもちいた実験を行い、嗅粘膜障害性薬剤をもちいた嗅粘膜障害モデルおいて、GGTの果たす役割を解析する実験に取り組んでいった。さらにこの検討を進める中で派生したプロジェクトとして、嗅粘膜における亜鉛のはたす役割に関しての検討に取り組んだ。
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