ヒトの嗅覚障害は原因が不明であり、嗅覚機能および嗅覚器の状態を正確に把握できる方法はない。本研究では嗅粘膜を特異的に標識する蛍光プローブを確立し、嗅粘膜の状態を直接観察し把握できることを明らかにした。ヒトの嗅粘膜に優位に発現しているCYP2A6およびγGGTという2つの酵素を抽出し、その基質であるCoumarinおよびgGlu-HMRGという2つの分子に着目をした。これらは嗅粘膜の支持細胞で代謝され、その代謝産物が蛍光を発する性質を利用し、嗅粘膜を特異的に描出した。さらに嗅粘膜障害モデルでの検討では、これらのプローブは無神経化した嗅上皮は描出しないが、再生した嗅粘膜は描出をした。
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