研究課題
間葉系幹細胞は、骨髄をはじめ様々な組織に存在し、生体の恒常性に関与していると考えられている。間葉系幹細胞は、既に細胞治療のソースとして実用化されているが治療に関与する細胞集団の同定といった細胞特性の解析が進んでおらず、幹細胞の本質が捉えられていないのが現状である。本研究では、単一細胞レベルでの遺伝子発現を指標として間葉系幹細胞を分類することにより、組織恒常性(組織修復)に関与する細胞集団の特定を目的とする。また、複数の遺伝子発現細胞を追跡できるマウスと単一細胞遺伝子解析技術を組み合わせることにより、損傷及び老化による個々の間葉系幹細胞の特性変化を解析する。組織幹細胞は組織の恒常性を維持するため、複雑な生命システムに基づいて幹細胞性を維持していると考えられる。間葉系幹細胞は、培養することで組織から抽出することができ、損傷モデルに移植することで組織修復および抗炎症効果などを有することが実証されている。しかし、細胞移植における有効性を発揮する細胞群が明らかではなく、治療効果の観点からの規格値設定が非常に困難である。これまでに申請者は、間葉系幹細胞を組織から分離するための細胞表面マーカーと細胞機能評価を組み合わせることで、間葉系幹細胞を同定・分離する技術の開発を進めてきた。本研究では、単一細胞レベルでの遺伝子発現を指標として間葉系幹細胞を更に詳細に分類することにより、組織恒常性(組織修復)に関与する細胞集団の特定を行う。渡航前の研究計画として、遺伝子発現を指標とした間葉系幹細胞の4つの集団について細胞特性解析を進めた。コロナウイルスによる渡航自粛の影響で、当初予定していた日程を延期した。渡航先との連携により本事業に関連した研究内容について、英文総説を執筆した。
2: おおむね順調に進展している
コロナウイルスによる渡航自粛の影響で、当初予定していた日程を延期したが、渡航前の実験及び本事業に関連した研究内容について、英文総説を執筆することができた。
渡英許可がおり次第、英国のCambridge大学での研究を遂行する予定である。遺伝子改変マウスを用いた実験が遂行が難しい可能性も考えられるため、in vitroの細胞培養系を用いた代替実験案を計画中である。
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