| 研究課題/領域番号 |
18KK0450
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| 研究機関 | 金沢大学 |
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研究代表者 |
大野 直樹 金沢大学, 保健学系, 准教授 (30642219)
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| 研究期間 (年度) |
2019 – 2022
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| キーワード | 頭蓋内環境 / 揺動MRI / 位相コントラストMRI / 脳腫瘍 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は脳のバイオメカニクスとハイドロダイナミクスの特性を一度の磁気共鳴イメージング（MRI）検査で取得して統合的に解析するシステムを確立し，脳腫瘍の診断と頭蓋内環境の非侵襲的モニタリングに役立てることを目的とする．令和3年度は前年度に考案した局所脳血流量の定量手法における撮像条件の最適化を行い，米国マイアミ大学と連携して本手法の臨床評価を実施するための環境整備を行った．
本研究で提案する局所脳血流量の定量手法の概要は次の通りである．まず，3TのMRIにおいて拡散傾斜磁場強度（b値）を段階的に変化させながら脳の拡散強調画像を取得し，Triexponential拡散解析によって灌流成分の拡散係数画像を作成する．さらに，フェーズコントラストMRIを使用して左右の内頸動脈および椎骨動脈の時間血流量から総脳血流量を算出する．灌流成分の拡散係数と脳血流量の線形性を利用して，総脳血流量を重みづけて灌流成分の拡散係数画像の脳実質領域に割り振ることによって局所脳血流量画像を算出する．なお，令和2年度の研究において本手法によって算出した灰白質と白質の局所脳血流量は過去の報告において15O-H2Oによる陽電子放出断層撮影検査（PET）で取得した測定値と概ね一致することを実証済みである．
しかし，提案手法によって非侵襲的に局所脳血流量を定量評価することが可能である一方，拡散MRIとフェーズコントラストMRIの撮像に7分程度要することが問題である．そこで令和3年度は解析に必要な一連のMRIデータを3分以内で取得し，より簡便に局所脳血流量の定量評価を行うために，拡散強調画像のb値数の削減による撮像時間の短縮を検討した．また，米国マイアミ大学のAlperin教授と連携し，本手法の脳腫瘍例における臨床評価を実施するために現地を訪問して環境整備を行った．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度にフェーズコントラストMRIに拡散MRIを組み合わせて局所脳血流量を非侵襲的に評価する手法を考案し，その正当性を検証した．本研究成果に関して令和3年度に論文投稿し，Journal of Magnetic Resonance Imaging誌に掲載された．また，拡散強調画像のb値数の削減によって撮像時間の短縮を図ったところ，解析に必要な一連のデータを3分程度で取得可能であることが判明した．本研究成果に関して令和4年度中の論文投稿を目標に準備を行っている．さらに，令和4年1月28日から3月21日にかけて共同研究先の米国マイアミ大学のAlperin教授の研究室を訪問し，本手法の脳腫瘍例における臨床評価を実施するために現地MRIの撮像プロトコルの設定や解析環境の構築等の環境整備を行った．以上より，本研究は一定の進展があったと考える．
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| 今後の研究の推進方策 |
令和3年度に引き続き脳のバイオメカニクスとハイドロダイナミクスの特性を一度の検査で取得して統合的に解析するシステムの確立を目指す．令和4年度は共同研究先の米国マイアミ大学のAlperin教授と連携して脳腫瘍例における本提案手法の臨床評価を開始する予定である．また，本研究で得られた研究成果を社会に向けて広く発信するために，国際会議を中心とした学会発表や欧文誌への論文投稿を行うつもりである．
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