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2019 年度 実施状況報告書

腸管寄生原虫の病原性因子間相互作用および新規糖鎖アレイによる因子の糖鎖親和性解析

研究課題

研究課題/領域番号 18KK0451
研究機関長崎大学

研究代表者

加藤 健太郎  長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (50508885)

研究期間 (年度) 2019 – 2021
キーワード寄生虫学 / 糖鎖生物学 / 赤痢アメーバ / レクチン / 糖鎖アレイ
研究実績の概要

本研究課題では、感染に必須である赤痢アメーバレクチンのIglサブユニットと他の病原性因子との分子間相互作用を明らかにすると共に、レクチン活性を有するIglサブユニットの糖鎖認識特異性を明らかにすることを目的として研究を進めている。
本年度はアメリカ合衆国・バージニア大学にて、赤痢アメーバレクチンのIglサブユニットと病原性因子の一つであるHglサブユニットが、赤痢アメーバにおいて共局在しているかを調べた。また両分子が実際に相互作用しているかを明らかにするため、両分子に対する抗体を用いた免疫沈降実験を行った。
その結果、「IglサブユニットとHglサブユニットは赤痢アメーバ表面では共局在しているが、赤痢アメーバ内では異なる小胞内に局在し、共局在していない」という興味深い結果が得られた。このことは、IglサブユニットとHglサブユニットが異なる経路で赤痢アメーバ表面に輸送され、赤痢アメーバ表面において初めて相互作用をすることを示唆している。
デンマーク・コペンハーゲン大学においては細胞を用いた新規糖鎖アレイ(Cell-based glycan array)を使用して、Iglサブユニットの糖鎖認識特性を明らかにしようと実験を進めた。様々な種類の糖鎖を発現した細胞に対する組換え型Iglサブユニットの親和性を細胞染色およびFACS解析にて調べたところ、すべての細胞株に対して親和性が認められたが、その中でもN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を表面に提示している細胞株に対するIglサブユニットの親和性が高いことが明らかとなり、本アッセイ系を用いれば、Iglサブユニットの弱い糖鎖親和性も検出できることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度はアメリカ合衆国・バージニア大学にて、「IglサブユニットとHglサブユニットは赤痢アメーバ表面では共局在しているが、赤痢アメーバ内では異なる小胞内に局在し、共局在していない」という興味深い結果が得られた。現在まで、このような知見は報告されていないため、この点においては「当初の計画以上に進展している」。一方、デンマーク・コペンハーゲン大学においては、様々な種類の糖鎖を発現した細胞に対する組換え型Iglサブユニットの親和性を細胞染色およびFACS解析にて調べたところ、すべての細胞株に対して親和性が認められたが、中でもN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を表面に提示している細胞株に対するIglサブユニットの親和性が高いという結果が得られた。しかし更なる条件検討が必要であるため、「おおむね順調に進展している」と評価した。
これらの結果を踏まえ、現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している」と評価できる。

今後の研究の推進方策

アメリカ合衆国・バージニア大学においては、「IglサブユニットとHglサブユニットは赤痢アメーバ表面では共局在しているが、赤痢アメーバ内では異なる小胞内に局在し、共局在していない」という興味深い結果が得られたため、赤痢アメーバ内において、それぞれのサブユニットがどのような小胞に局在しているのかを明らかにしたい。また、Iglサブユニットと相互作用する他のタンパク質に関しても解析を進めていきたい。
デンマーク・コペンハーゲン大学においては、用いる細胞数やタンパク質濃度に関して条件検討を進め、Cell-based glycan arrayを用いてIglサブユニットの糖鎖親和性の解析を進める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 赤痢アメーバIglレクチンの溶血活性領域の同定2019

    • 著者名/発表者名
      加藤健太郎、牧内貴志、橘裕司
    • 学会等名
      第38回日本糖質学会年会
  • [学会発表] Beyond antibiotics--赤痢アメーバ感染制御に向けた生物学2019

    • 著者名/発表者名
      加藤健太郎
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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