研究課題/領域番号 |
18KK0453
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
保嶋 智也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (50753555)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2020
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キーワード | トランスポーター / lysosome / ビタミン / ピリドキシン / チアミン |
研究実績の概要 |
ビタミンは細胞の正常な機能維持のために重要な役割を担っているが、基本的に生体内で合成されないため、生体内への供給は食物からの摂取に依存している。それゆえ、簡単にビタミン欠乏に陥らぬよう、生体にはビタミンを細胞内にプールする機構が備わっていると考えられている。そのプール機構の実体は、細胞内小器官であるlysosome内への輸送過程を経て、細胞内に蓄積している可能性が考えられている。これまでに、その輸送過程を担う分子実体のひとつとして、水溶性ビタミンであるthiamine/vitamin B1やpyridoxine/vitamin B6を輸送するlysosomal multivitamin transporter 1(LMVT1)の同定に成功したことから、生体における詳細な機能を解析することとした。 ただ、それ以前にpyridoxineを細胞内に供給する分子メカニズムについて不明であった。そこで、この過程を担うトランスポーター分子の探索を先行して行った結果、その分子実体の同定に成功した。これまでに、pyridoxineを輸送するトランスポーター分子の実体は不明であったため、本研究により非常に重要な知見を得ることが出来た。本年度は、カリフォルニア大学アーバイン校において、本トランスポーターの生理的意義について、詳細な検討を行った。現在までに、その研究結果の取りまとめが終了し、論文投稿を行っている状況である。 また、LMVT1に関しても並行して研究を行った。その研究成果の取りまとめと追加実験については、次年度に行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LMVT1の解析に先立ち、pyridoxineを細胞内に供給する分子実体の同定に取り組んだ。その結果、新規pyridoxineトランスポーターの同定に成功し、その機能解析を完了させることが出来た。LMVT1の基本的な機能解析についても、おおよそ完了させることが出来ている。細胞内pyridoxineプール機構に対するLMVT1の意義については、現在、研究を進めている段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
LMVT1の基本的な機能解析については終了しているため、今後は生体における役割について検討を行う。具体的には、LMVT1が発現しているモデル細胞において、pyridoxineの欠乏や過量処理による発現制御について検証し、細胞内プール機構に対する寄与を明らかにする。また、CRISPR-Cas9システムにより、LMVT1ノックアウト細胞を樹立し、細胞増殖能を始めとする各種生理機能に対する影響を評価する。
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