本研究は光線力学的癌診断薬 5-aminolevulinic acid(5-ALA)を用いた蛍光内視鏡システムとEndobronchial Ultrasound (EBUS)に代表される超音波内視鏡システムを融合させた胸部悪性腫瘍に対する低侵襲な診断治療システムの開発・構築をその目的とする。現在の胸部悪性腫瘍に対する治療は、抗PD-1抗体などに代表されるように治療薬の開発が進んでいる。このため生検や手術による組織採取は診断の確定のみならず、遺伝子解析技術による遺伝子変異やcopy number variationなどの遺伝子的特徴の把握は、選択すべき治療戦略を決定する上で重要な位置付けとなっている。EBUSは現在広く世界で用いられている、低侵襲なデバイスであるが、これに現在多領域に渡る広い分野で応用されている5-ALAの腫瘍特異的集積性を応用することで、確実な新規生検技術、安全でかつ簡便な気管支鏡下治療や低侵襲な胸腔鏡手術を実現するための手術画像支援システム構築を含む次世代の多元的multi-function内視鏡システムの開発を目的として今回の申請に至った。 現在は平成31年度からの渡航にむけ、準備を行っている段階である。渡航後は研究方法としてまず1:新規蛍光内視鏡システム側からのアプローチとして、摘出ブタ心肺モデルを使用し新規蛍光内視鏡システム側のシステムセットアップ、PPⅨ、5-ALAの条件検討を行い、2:腫瘍への5-ALA特異的デリバリーシステムに関して、5-ALAを30nm小径ナノ粒子に包含し、3:その臨床応用を考えている)。現在の進捗は摘出ブタ心肺モデルを使用した新規蛍光内視鏡システムによる条件検討と、肺癌根治術予定の症例に対し、術中5-ALA投与による腫瘍の存在確認と安全性評価の臨床試験を臨床研究法に則ったプロトコールの作成を行なっている。
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