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2022 年度 実施状況報告書

肥満・加齢における骨格筋の質的量的制御メカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 18KK0462
研究機関神戸大学

研究代表者

野村 和弘  神戸大学, 医学研究科, 特定助教 (70450236)

研究期間 (年度) 2019 – 2023
キーワード骨格筋 / エネルギー代謝 / アドレナリンシグナル / 肥満 / サルコペニア
研究実績の概要

代表者は、骨格筋の運動時のエネルギー代謝制御においてβ2アドレナリンシグナルが重要な役割を担うこと、また、肥満動物の骨格筋ではアドレナリン感受性の減弱、いわば「アドレナリン抵抗性」というべき状態が生じることを見出している。これまでに骨格筋特異的β2アドレナリン受容体欠損マウスを作製し、本マウスは運動時の体重減少率が低下し、運動時のエネルギー消費が減弱したマウスであることを明らかにした。また、肥満モデルマウスの骨格筋においてβ2アドレナリン受容体の遺伝子発現レベルでの低下が「アドレナリン抵抗性」の一因になることを見出した。肥満モデル動物の骨格筋のβ2アドレナリン受容体遺伝子のプロモーター領域ではDNAが高メチル化状態にあり、これがβ2アドレナリン受容体遺伝子の発現低下の原因となる可能性が考えられた。さらに以上の様なモデル動物で得た知見のヒトへの外挿性を検証した結果、ヒト骨格筋生検試料を用いた解析でも、肥満者ではβ2アドレナリン受容体遺伝子プロモーター領域のDNAが高メチル化状態にあり、その結果β2アドレナリン受容体の遺伝子発現の低下をきたし、エネルギー消費を減弱させている可能性が考えられた。これらの結果から、骨格筋のβ2アドレナリンシグナルは、個体レベルでのエネルギー代謝制御に重要な役割を担うと考えられた。さらに、加齢骨格筋でもβ2アドレナリン受容体の遺伝子発現レベルでの低下による「アドレナリン抵抗性」が生じることを見出し、加齢におけるエネルギー消費の減弱やサルコペニアへの関与が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本国際共同研究により、骨格筋のアドレナリンシグナルの生理的意義と肥満によって生じる「アドレナリン抵抗性」の発症機構と病理的意義についての解析が大きく進展した。肥満、2型糖尿病など、様々な病態のヒト骨格筋試料を用いた解析を通じ、モデル動物で得た知見のヒト試料での検証も順調に進展したが、その後コロナ禍による国際共同研究が停滞した。

今後の研究の推進方策

骨格筋のアドレナリンシグナルの生理的意義と肥満や加齢によって生じる「アドレナリン抵抗性」の発症機構と病理的意義についての解析を引き続き進める。これまでに行ってきた代謝表現型の解析に加え、加齢による筋量減少やトレーニングによる筋量増加などの解析も行う。また引き続き、肥満、2型糖尿病、サルコペニアなど、様々な病態のヒト骨格筋試料を用いた解析を通じ、モデル動物で得た知見のヒトへの外挿性の検証を進める。さらに、運動依存性に骨格筋で活性化される因子を網羅的に解析したデータベースや肥満・糖尿病患者の骨格筋の遺伝子メチル化情報データベースから「骨格筋アドレナリン抵抗性」に関与する可能性のある候補因子の探索を試み、これらの候補因子の中から、肥満やサルコペニアの治療標的となりうる新規分子・経路の同定を目指す。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A Piezo1/KLF15/IL-6 axis mediates immobilization-induced muscle atrophy2022

    • 著者名/発表者名
      Hirata Yu、Nomura Kazuhiro、Kato Daisuke、Tachibana Yoshihisa、Niikura Takahiro、Uchiyama Kana、Hosooka Tetsuya、Fukui Tomoaki、Oe Keisuke、Kuroda Ryosuke、Hara Yuji、Adachi Takahiro、Shibasaki Koji、Wake Hiroaki、Ogawa Wataru
    • 雑誌名

      Journal of Clinical Investigation

      巻: 132 ページ: 1~13

    • DOI

      10.1172/JCI154611

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 糖尿病による筋量減少の分子機構2022

    • 著者名/発表者名
      小川 渉、平田 悠、野村 和弘
    • 学会等名
      第95回日本内分泌学会学術総会
    • 招待講演
  • [学会発表] 運動による骨格筋リモデリングの活性化と加齢による破綻メカニズム2022

    • 著者名/発表者名
      野村和弘、小川渉
    • 学会等名
      第65回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 高血糖および不動化における筋量制御のメカニズム2022

    • 著者名/発表者名
      平田悠、野村和弘、小川渉
    • 学会等名
      第65回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] ストレスはC/EBP-KLF15経路を介して筋萎縮を促進する2022

    • 著者名/発表者名
      内山奏、平田悠、野村和弘、Hendy Wijaya、谷口将之、北岡志保、古屋敷智之、小川渉
    • 学会等名
      第65回日本糖尿病学会年次学術集会
  • [備考] 神戸大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌内科学

    • URL

      http://www.med.kobe-u.ac.jp/im2/

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公開日: 2023-12-25  

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