研究実績の概要 |
AAVベクターを用いた遺伝性神経疾患に対する遺伝子治療法開発は世界的に進展しているが、全ての神経細胞への導入および発現量の調節ができない点が課題である。申請者らは小児神経難病AADC欠損症に対し、正常AADC遺伝子搭載AAV2型ベクターを被殻に注入する遺伝子治療を8名に施行し、全例で運動機能の改善を得た(Kojima, et al. Brain 2019)。本研究では、海外共同研究者が得意とするsmall RNA関連技術を用い、以下を実施する。1:AADC欠損症や他の小児神経疾患をモデルに、small RNA等を用い、AAVで導入した遺伝子の発現調節法の開発。2:小児中枢神経疾患におけるmicroRNAの病因への関与の解析と遺伝子治療による介入研究。3.小児神経疾患の遺伝子変異と表現系の関連を分子病態学的に解析する。 国内外の共同研究者と連携し、多くの小児神経疾患へのAAVとmicroRNA等を用いた遺伝子治療法開発の端緒とする。miRNA302は胎児期の神経幹細胞の分化や神経管閉鎖に重要な役割を果たす事が報告されている。また、遺伝子の発現調整と疾患表現系の関連を解析し、遺伝子治療開発につなげる。 2023年度は、小児神経疾患のRett重複症候群の患者iPS細胞から大脳皮質オルガノイドを作成し、経時的な神経発達過程及び遺伝子発現変化を解析した。CRISPR-dCasシステムを用いた発現調整可能な遺伝子治療法の開発のため、gRNAの選定を行い、HEK293細胞を用いて効果の確認を行った。
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