消費とは全く異なる場所での環境負荷の発生や環境影響が問題となる中で、それを空間的に把握、分析する研究プロジェクトを行ってきた。従来の研究では、国と国との関係を分析したものが主であったが、近年、私たちの研究によって、私たちの消費が貿易を通じて、「どこで」環境問題を発生させているかを明らかにしてきた。このような背景の中で、さら土地利用を組み込んだ空間的なフットプリント分析を行ってきた。 昨年度までに、複数の土地利用別にサプライチェーンデータとの統合を行ってきた。本年度は、交通部分の一部と全体との統合を実施した。交通部分に関しては、既存研究で十分でない部分が多々あったので、空間情報の前にデータ構築などを行った。最終的なすべての土地利用データの統合にまでは至らなかったが、農地と森林などの組み合わせの研究を進めた。研究の結果、交通部分に関しては、輸送タイプ別貿易データと世界多地域間産業連関表を統合することで、海上、航空、道路交通、鉄道、水路の各輸送タイプ別のフットプリントの推計に成功した。既存研究は、輸送タイプ別の各国間の温室効果ガス排出量のみであったため、フットプリント分析まで拡張した研究ははじめてになる。輸送の排出量の各国のインベントリへの追加について、各種方法を整理し、どのような場合にどのアカウンティング方法を使えばよいのかを明らかにした。また、昨年度までに出版した森林伐採に関する研究についても農作物別に分解した。
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