研究課題/領域番号 |
18KT0011
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 秀幸 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (40509072)
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研究期間 (年度) |
2018-07-18 – 2021-03-31
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キーワード | 防災・減災 / 避難行動支援 / 情報通信システム / 分散処理 / マルチエージェント |
研究実績の概要 |
今後の大地震による巨大津波の襲来、集中豪雨、台風、噴火などの未曾有の天災に備えることが喫緊の課題となっている。自然災害発生時には、建物内の損壊や倒壊、火災、土砂崩れなどによって平時の屋内外の状況が一変する。そのため、平時から大きく状況が変化する場合や突発的に発生する予測困難な災害が発生する場合に自然災害の状況や二次災害の状況に応じて、刻々と対応の変化を求められる場合などを考慮した避難行動支援システムの実現が期待される。 本研究課題では、ロボット、ドローン、センサ、携帯端末などの通信機能を備えた人工物をIoT(Internet of Things)機器とし、そのIoT機器同士が自律的に連携しながら災害の状況および避難行動要支援者の状況を把握し、さらにSNS、過去の災害アーカイブを活用しながら適応的に避難誘導を実現するための避難行動支援システム構築基盤技術の確立と実証実験の実施が目的である。 初年度の研究実施計画は、本研究課題における基盤となる避難行動支援プラットフォームの開発と避難誘導に関わる基本機能の設計と研究開発環境の整備であった。具体的には、既存関連技術の調査・分析として、技術的課題の明確化とフィールド調査を行なった。次に、避難行動支援プラットフォームの開発として、自律適応型の避難行動システムのアーキテクチャの設計を行った。また、屋内避難誘導支援機能の開発として、可視光デバイスを利用した非常時の避難経路の誘導を行うための基本機能の設計を行なった。さらに、屋外避難誘導支援機能の開発として,津波避難場所の標識を搭載したドローンが要避難対象者を避難所まで誘導を行うための基本機能の設計と試作を行なった。以上から初年度において、本研究課題を推進するための核となるシステム基盤構築の設計と環境整備を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、様々なIoT機器が連携しながら災害の状況および避難行動要支援者の状況を把握し、避難誘導を実現するための避難行動支援システム構築基盤技術の確立と実証実験の実施が目的である。初年度の研究実施計画は、避難行動支援プラットフォームの開発と避難誘導に関わる基本機能の設計と開発が目標であり、計画に従って設計と開発を進めることができた。具体的には、避難行動支援プラットフォーム、屋内外の難誘導支援機能に関する基本機能の設計と試作などを進めることができた。また、一部の成果は、国際会議や国内研究会で発表し、国内外の研究者と議論を行うことができた。以上から、本研究課題の進捗状況としては、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、国外における外部発表などの機会を設けることができなかったため、次年度においては、初年度の成果を国内外において随時発表することを目標とする。加えて、所属研究機関の変更が発生したため、早急に新たな研究開発環境を整備し本研究課題を推進する。なお、本研究課題の進捗としては、予定通り順調に進んでおり大きな問題は発生していない。よって、次年度は、当初の計画予定通り、要避難支援者の状況、災害状況、二次災害状況およびそれぞれの変化に適応可能な情報分析・制御技術の開発を目標に研究開発を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は、屋外で使用可能な開発用ドローンおよび開発用ロボットの購入を予定していたが、該当機器の導入前に既に所有している機器を活用した試作システムの開発および動作検証に時間を要してしまったことに加えて、研究代表者が所属する研究室の閉鎖とそれに伴う実験開発環境の撤去作業が発生した。また、代表者の所属研究機関の変更に伴う手続きや準備等で、機器の購入や契約等に関する十分な時間を確保することができず、初年度においては、新たな開発用ドローンおよび開発用ロボットの購入と導入を見送る必要が生じた。以上から、次年度使用額が生じた理由は、初年度購入予定であった開発用ドローンおよび開発用ロボット、それに付随する周辺機器の購入を見送ったためである。一方、次年度においては、変更後の所属研究機関において、研究開発環境の整備を早急に行い、準備が整い次第、購入を見送っていた開発用ドローンおよび開発用ロボット、周辺機器の購入に次年度使用額を充てる予定である。
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