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2019 年度 実施状況報告書

Systems Bone Biology~骨・軟骨疾患の発症予測から疾患予防へ

研究課題

研究課題/領域番号 18KT0018
研究機関国立障害者リハビリテーションセンター(研究所)

研究代表者

篠原 正浩  国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 運動機能系障害研究部, 研究室長 (60345733)

研究分担者 味八木 茂  広島大学, 病院(医), 講師 (10392490)
岩見 真吾  九州大学, 理学研究院, 准教授 (90518119)
野下 浩司  九州大学, 理学研究院, 助教 (10758494)
研究期間 (年度) 2018-07-18 – 2021-03-31
キーワード骨粗鬆症 / 変形性関節症 / 骨代謝マーカー / 数理モデル / 画像解析 / 予測シミュレーション
研究実績の概要

不動性骨粗鬆症マウスモデルを利用し、μCTや組織学的解析により骨量および骨微細構造の時間的変化、ならびに血中骨代謝マーカーの濃度測定によりその時間的変化を明らかにした。この不動性骨粗鬆症発症時における経時的解析を基盤として、疾患発症予測可能なシミュレータの開発に取り組んだ。並行して、骨CTデータの領域分割のための学習データの作成とその精度検証に取り組んだ。U-Netを利用した各断面での領域分割について、シミュレーションデータを用いた2クラス(骨,背景)の結果はIOUが90%程度となった。実データにおける結果は80%程度となった。さらに海綿骨、皮質骨、背景の3クラスでの領域分割では、シミュレーションデータでIOUが80%程度の結果となり、骨構造における部位ごとの領域分割が一定の精度で可能であることを示した。
一方、変形性関節症(OA)は運動器において最も罹患者数の多い加齢性変性疾患であるが、加齢によるOA発症メカニズムについては十分に明らかにされておらず早期診断法もないのが現状である。そこで、老化促進マウス(SAMP8)が、OAを早期に発症するのかを明らかにするために、SAMP8マウスにおける膝関節の病理組織学的解析を行い、14週齢よりSAMP8マウスでは軟骨変性が認められ、23週齢においては、全てのマウスで軟骨の部分欠損、また軟骨下骨に至る全層欠損が観察され、早期にOAを発症するマウスであることを明らかにした。このSAMP8マウスは、軟骨変性に先んじて顕著に軟骨下骨の硬化が進行していることも判明した。この軟骨下骨における病理組織学的変化の評価法は確立されていないことから、加齢性OAモデルとしてSAMP8マウスと外傷性OAモデルマウスを用いてμCTなどのデータと比較・検証を行い組織切片のみによる軟骨下骨の変化を早期に検出することが可能な新たなスコアリングシステムを開発した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

骨・軟骨疾患モデルマウスを用いた血中骨代謝マーカーや関節組織の時系列的解析から疾患発症過程での変動を捉えることに成功し、さらに疾患発症予測が可能なシミュレーターや疾患の早期診断における利用可能性を実証する画像解析ができたと考えられ、当初の計画通りに研究は進んでいると考えられる。

今後の研究の推進方策

当初の計画に従って、血中骨代謝マーカー測定や画像解析から骨粗鬆症や変形性関節症の発症予測や早期診断を可能にするシステムの基盤を構築していく。不動性骨粗鬆症モデルを用いて確立したシミュレータを用いて、加齢性骨粗鬆症や閉経後骨粗鬆症モデルに対しても適応可能な包括的シミュレータへと発展させる。さらに、ヒトの血中骨代謝関連マーカーに関する経時的データおよび骨量データを活用して、ヒトへの応用方法を確立する。並行して、画像解析では領域分割された骨構造からの特徴量抽出に取り組む。また、SAMP8マウスはSAMR1マウスに比べ9週齢より大腿骨における骨密度の有意な低下が認められており、このSAMP8マウスに、骨粗鬆症薬として一般的に用いられているビスフォスフォネートを投与する実験を実施し、骨粗鬆症への影響および変形性関節症治療に対する影響について解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

年度末における研究活動自粛により、一部実験が実施できなかったため。該当する実験は次年度に実施する計画である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Mechanical regulation underlies effects of exercise on serotonin-induced signaling in the prefrontal cortex neurons.2020

    • 著者名/発表者名
      Ryu Y, Maekawa T, Yoshino D, Sakitani N, Takashima A, Inoue T, Suzurikawa J, Toyohara J, Tago T, Fujita N, Sawada K, Murase S, Watanave M, Sakai T, Yoshikawa Y, Ogata T, Shinohara M, Nagao M, Sawada Y
    • 雑誌名

      iScience

      巻: 23 ページ: 100874

    • DOI

      10.1016/j.isci.2020.100874

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mechanical regulation of bone homeostasis through p130Cas-mediated alleviation of NF-κB activity.2019

    • 著者名/発表者名
      Miyazaki T, Zhao Z, Ichihara Y, Yoshino D, Imamura T, Sawada K, Hayano S, Kamioka H, Mori S, Hirata H, Araki K, Kawauchi K, Shigemoto K, Tanaka S, Bonewald LF, Honda H, Shinohara M, Nagao M, Ogata T, Harada I, Sawada Y
    • 雑誌名

      Sci Adv

      巻: 5 ページ: eaau7802

    • DOI

      10.1126/sciadv.aau7802

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 障害者の骨をどう守る?2020

    • 著者名/発表者名
      篠原正浩
    • 学会等名
      第4回理論免疫学ワークショップ
    • 招待講演
  • [学会発表] モデルマウスを用いた骨融解症の病態理解 -遺伝子欠損から疾患変異へ-2019

    • 著者名/発表者名
      綱川祐貴
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会
    • 招待講演
  • [学会発表] 多中心性手根骨足根骨融解症の病態理解のための分子的基盤-遺伝子欠損から疾患変異へ-2019

    • 著者名/発表者名
      綱川祐貴、篠原正浩,、濱田理人、 全孝静、水野聖哉、Andreas Zankl 、臼井俊明、布施谷清香、金井真帆、 森戸直記、高橋智
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 変形性膝関節症マウスモデルを用いた軟骨下骨の組織学的スコアリングシステムの確立2019

    • 著者名/発表者名
      柳樂慶太、 真田洋平、篠原正浩、萩野浩、味八木茂
    • 学会等名
      第37回日本骨代謝学会学術集会
  • [学会発表] 変形性膝関節症マウスモデルを用いた軟骨下骨の組織学的スコアリングシステムの確立2019

    • 著者名/発表者名
      柳樂慶太、味八木茂、生田祥也、眞田洋平、篠原正浩、安達伸生、永島英樹、Lotz Martin
    • 学会等名
      第34回日本整形外科基礎学会
  • [学会発表] MCTOモデルマウスは患者と同様の腎症を示す2019

    • 著者名/発表者名
      綱川祐貴、篠原正浩、濱田理人、松永友里菜、布施谷清香、全考静、脇本悠史、臼井俊明、金井真帆、水野聖哉、森戸直記、高橋智
    • 学会等名
      第5回日本骨免疫学会
  • [図書] 実験医学2019

    • 著者名/発表者名
      篠原正浩
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      羊土社

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公開日: 2021-01-27  

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