研究課題/領域番号 |
18KT0027
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
斉木 臣二 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00339996)
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研究分担者 |
笹澤 有紀子 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (20594922)
赤松 和土 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60338184)
舩山 学 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70468578)
石川 景一 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90733973)
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研究期間 (年度) |
2018-07-18 – 2021-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / オートファジー / ポリアミン / スペルミン / スペルミジン / ジアセチルスペルミジン |
研究実績の概要 |
まずパーキンソン病(PD)患者を含む集団血漿データ(健常者45名、PD患者145名)を検討し、抗加齢効果を持つスペルミジンから作られるN8-アセチルスペルミジンの値が上昇していることを見出した。次にPD患者体内でポリアミンがどのように代謝されているかを解明するため、別集団(健常者49名、PD患者186名)において病期・重症度との関連を血清ポリアミンとその代謝産物7種に拡張して評価し、併せてMRIにおける脳実質の変化との関係や代謝酵素遺伝子変異を調べた。PD患者群ではジアセチルスペルミジン、N1-アセチルスペルミジン、N8-アセチルスペルミジン、ジアセチルスペルミン、スペルミジンが有意に増加している一方、スペルミンは減少していることを発見した。これらの代謝物のうち、ジアセチルスペルミジンはPDの重症度に相関して上昇していた。さらにポリアミン7種の各濃度により高確率でPDを診断できることがわかり、バイオマーカーとしての有用性を実証できた。またPD患者では黒質ドパミン神経細胞だけでなく、他の神経軸索ネットワークも障害されているとされるが、無作為に抽出したPD患者20名のMRI像の脳の軸索変化とジアセチルスペルミジン値の関係を検討したところ、ジアセチルスペルミジンが高いほど脳の軸索障害が強いことが分かった。次にPD患者群ではスペルミジンが増加しているにもかかわらず、その下流代謝物であるスペルミンが減少していることに着目した。実際スペルミン/スペルミジン比はPD患者で有意に低下しており、健常者では加齢に伴いスペルミン/スペルミジン比が低下するのに対し、PD患者群では年齢に関係なく低値を示した。本結果は加齢が最大のリスクとされるPD患者では、スペルミンによる抗加齢作用が低下していることを示唆する。7種のポリアミン化合物の中でスペルミンが神経系細胞で最も高いオートファジー誘導能を示した。
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