研究実績の概要 |
計画の最終年度である本年度は昨年度に引き続き,(1)論文執筆,学会等における発表,(2)研究会の開催,(3)茶席におけるデータ収集と分析の準備の3事業をおこなった。 (1)に関しては,代表者の木村は,2023年7月にブリュッセルで開催された18th International Pragmatics Conferenceにおいて"'Shu, Ha, Ri (Obey, Break, Separate)': Logical Types in Tea Ceremony Learning"と題した発表をおこない,また東京外国語大学AA研の『トランスカルチャー状況下における顔・身体学の構築』報告書に「束縛から遊びへ ―茶道の稽古における『型』と論理階型の上昇」という論文を寄稿した。ともに,茶道の稽古を通してある種の論理階型の跳躍が生じ,満足感が得られるプロセスを,これまでに収録した茶席動画を参照しつつ分析したものである。また分担者の美濃部は,日独文化研究所の『文明と哲学』誌に「わび茶と間文化性」という論文を寄稿した。「わび」という概念を,茶席における行為との関係で考察した論考である。今後,これらを含む成果を『茶道の行為論』といった表題で著書にまとめていく予定である。 (2)に関しては,2023年1月22日に,代表者木村,分担者美濃部および梶田が参加してまとめに向けての研究会をおこなった。また,研究代表者らが関係するウェビナー「心茶セミナー」を開催した。このウェビナーはYouTubeにて公開され誰でも視聴可能である。 (3)に関しては,京都大学心茶会(裏千家茶道部)にデータ収集の協力を求め,2023年7月30日と2024年1月月14日に点前稽古の場面を収録した。そのデータは現在分析中であり,また今後プライバシーに配慮しつつ,「身振りコーパス」の形で公開していく予定である。
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