研究課題/領域番号 |
18KT0035
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
小磯 花絵 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 音声言語研究領域, 教授 (30312200)
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研究分担者 |
大武 美保子 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, チームリーダー (10361544)
春木 良且 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (80277954)
田中 弥生 神奈川大学, 外国語学部, 非常勤講師 (90462811)
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研究期間 (年度) |
2018-07-18 – 2022-03-31
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キーワード | 地域コミュニケーション / 映像アーカイブ / 認知機能 |
研究実績の概要 |
本課題は、オラリティを中心とする共在性の在り方の変容に伴う社会問題と、地域住民の共在感覚を産み出す映像コンテンツの記録・保存を一つの枠組みの中で捉え、問題解決の糸口を探るものである。この課題に向け、今年度は次のことを実施した。 共想法:認知症予防に有効とされる認知活動(体験記憶、注意分割、計画)を支援するための会話手法である共想法を拡張し、都在住の高齢者15名(中央区・文京区・台東区の在住者中心)を対象に、「江戸を感じるもの」や「お祭りに行ってみた」「小さい頃の事を思い出してやってみた」など居住地域を中心とするテーマで「お江戸共想法」を11回開催した(3月はコロナウイルス感染防止のため中止となった)。その上で、効果測定を実施した(効果の検証は現在実施中)。会の様子は毎回収録しており、来年度に向けた本格的分析に向けて文字化を進めた。 地域映像の保存:政策ニュース映画の制作側のリサーチと、残された映像を用いた地域コンテンツの制作を実施した。前者では、実際に昭和30年代以降に政策ニュース映画の制作に携わった職員にインタビューを行い、制作に纏わる様々な記憶や当時の写真を発掘した。映像に関しては、量的に充実しデジタル化も完了している茨城県県政ニュース映画について、自治体の協力を得てナレーションの文字化を進めた。3月には、茨城県利根町において、茨城県政ニュース映画を用いた住民ワークショップを予定していたが、現在新型コロナウィルスの影響でワークショップは中止となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は高齢者を主対象とするものであるが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3月に予定していた共想法を中止とせざるを得なかった。また現在は、東京を中心に「お江戸共想法」を実施しているが、それを、映像コンテンツを有する茨城県(利根町)の協力を得て拡張する計画であったが、その最初のイベントである住民ワークショップも新型コロナウイルスの影響で中止となった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの状況が見通せないなか、これまでのような対面でのコミュニケーションを前提とする方法を実施することは難しい。そのため、今年度は遠隔で共想法を実施するシステムの開発を進めることとし、これに基づき共想法を再開できるよう試みる。ただし、高齢者のネットワーク環境等の詳細は不明であり、同規模で再開できるか現時点では分からない。今後、新たな共想法が十分に実施できない可能性も考え、2019年度に収録した分を中心に研究できる体制を早急に整える。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で、予定していた共想法やワークショップが中止となったことにより、予算の執行が滞った。本研究は高齢者を対象としているため、当面、共想法やワークショップを開催することは難しい。そのため、今年度の研究費は、遠隔共想法支援システムの開発などに当てることとする。
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