研究課題/領域番号 |
18KT0035
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
小磯 花絵 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 音声言語研究領域, 教授 (30312200)
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研究分担者 |
大武 美保子 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, チームリーダー (10361544)
春木 良且 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (80277954)
田中 弥生 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 音声言語研究領域, プロジェクト非常勤研究員 (90462811)
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研究期間 (年度) |
2018-07-18 – 2023-03-31
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キーワード | 共想法によるコミュニケーション / 認知機能 / 映像アーカイブ |
研究実績の概要 |
今年度もコロナの影響で集合形式での会話実験は実施できなかった。かわりに、スマートフォン・タブレットアプリを用いた遠隔会話支援システムを用いて、同じ写真を見ながら時間を決めて会話をする共想法を実施することにより、高齢者間のコミュニケーションの場を維持するとともに、データを継続して収集した。また、これまで収録したデータを対象に、修辞機能分析手法に基づく分析を進めた。 これと平行して新たに、タブレットアプリとロボットを用いた対話ロボットシステムを用いて、ロボットが話題提供し、同時に関連する写真がタブレットに提示され、これに対して高齢者が質問する対話実験を行った。ロボットが提供する話題と提示される写真は、過去のグループ会話実験において参加した高齢者が提供したもので、提供者本人の許可を得て対話ロボットにおいて再利用した。利用した高齢者からは、親しみの持てる話題であったとの評価を得、高齢者の記憶と、映像の利活用の新たな手法を切り開いた。 これらに加え、特に自治体の広報、広聴機能に着目し、政策ニュース映画や映像コンテンツ、自治体広報に対してアンケート調査を行った。映像制作に関する技術の進歩や機材の高機能化により、コンテンツ制作のハードルが低下したという側面はあるが、その分コンテンツ制作の困難さが高まったこと、中でも物語性を持ったコンテンツに関しては、多くの自治体が制作に苦慮していることが分かった。そこで真鶴町のとの共同で、ソーシャルメディアからの物語生成に関して試行を行い発表した。その上で広域自治体ではなく基礎自治体レベルでの映像の整理を行うためのプラットフォーム作りを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は高齢者を主対象とするものであるが、2021年度も引き続き新型コロナウイルスの影響で計画を大きく変更せざるをえなかった。対面形式で開催してきた共想法は今年度もすべてオンラインに切り換え、規模を縮小して開催せざるをえなかった。また、本来の計画では、映像コンテンツを有する自治体の協力を得て共想法を拡張する方針だったが、2021年度も実施できなかった。かわりに、地域アーカイブズ構築支援のための活動を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、自治体が有する映像コンテンツを素材に高齢者を主対象に共想法を行い、それをアーカイブ化する予定であったが、新型コロナウイルスの影響で2020年度・2021年度ともに、この活動は行うことができなかった。そこで高齢者を対象とする共想法については、2020・2021年度と同様、当面はオンラインで開催し、状況により対面開催に切り替えると同時に、これまで収録した活動をアーカイブ・コーパスとして整備して公開の準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
地方自治体と協力して対面での開催を予定していた共想法による収録が、新型コロナウイルス感染拡大の影響ですべてオンラインに切りかえて実施したことにより、収録に係る経費がかからなかった。2022年度は、収集・調査したものを対象とするアーカイブ・コーパス化を積極的に進める。
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