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2022 年度 実施状況報告書

ウイルス非感染甲州ブドウ樹の作出と和食に合う日本産ワインの醸造の技術基盤の確立

研究課題

研究課題/領域番号 18KT0047
研究機関中部大学

研究代表者

町田 千代子  中部大学, 応用生物学部, 特定教授 (70314060)

研究分担者 堤内 要  中部大学, 応用生物学部, 教授 (50329851)
金政 真  中部大学, 応用生物学部, 准教授 (50361788)
吉崎 隆之  福山大学, 生命工学部, 准教授 (70515189)
塚本 義則  中部大学, 応用生物学部, 客員教授 (60592079)
小島 晶子  中部大学, 応用生物学部, 准教授 (10340209)
松本 省吾  名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (90241489)
研究期間 (年度) 2018-07-18 – 2024-03-31
キーワード甲州ブドウ樹 / ウイルス / 成長点培養 / 植物ホルモン / ワイン醸造
研究実績の概要

甲州種は、ゲノムの約3/4がヨーロッパ種Vitis veniferaであることが報告され、優れたワインができると期待されている。ワインは食事とのマリアージュが重要だと言われており、柚子の香りがする甲州種の白ワインは最も和食に合うワインとして、世界的にも着目されている。また、ワイン法が2018年10月から施行され、日本ワインへの期待が高まっている。しかしながら日本の醸造用のブドウの多くはウイルス感染しており、甲州種もその例外ではなく、糖度が上がらず、熟成度が低い一つの原因と考えられている。欧米では「成長点培養法」に よって得られたウイルス非感染ブドウ苗を公的に認められた機関が供給する体制が確立している。一方、日本ではウイルス非感染株の作出と安定的供給が確立していない。さらに、甲州種は、成長点培養の成功率が極めて低く、日本国内では現在我々のグループだけが条件を確立した状況にある。2022(R4)年度には、第一に、シュート形成に最適なサイトカイニン濃度を明らかにして公表した(Nakagawa et al., 2022)、新規なオーキシンを用いた発根の条件については論文準備中である。このようにして作製したウイルス非感染甲州ブドウ樹を温室と圃場で栽培し、2022年秋に約3 kgのブドウを収穫し、ワイン醸造を行い、現在熟成中である。第二に、これまでに、葉がカールする分子メカニズムとウイルス感染との関わりについてまとめ、2022年にJournal of Plant Research誌に発表し、引き続きウイルス感染との関連性について研究している。第三に、2021年秋に収穫したウイルス非感染甲州ブドウの果汁の化学分析を行い、ウイルス感染樹のブドウと比較解析した(堤内ら2022年9 月)。
今後圃場栽培を拡大して、ブドウの収穫量を増やしてワイン醸造を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

甲州ブドウを用いた成長点培養頻度の効率化をはかる事は喫緊の課題である。我々は、昨年度に引き続き成長点培養条件を検討した。また、ウイルス非感染ブドウ苗の圃場での栽培を開始し、圃場栽培においてブドウの開花、熟成は順調であったが、長雨と猛暑による病害が現れた地点もある。2022年度には、温室と圃場において 合計約3 kgのブドウを収穫し、ワイン醸造を行った。現在熟成中である。ワインの品質については、今後解析する予定である。ブドウ果汁の解析から、ウイルス非感染甲州ブドウ樹から収穫したブドウは、天候がベストの条件でなくてもウイルス感染ブドウよりも、より質の高いブドウが得られる事を示すことができた。しかしながら、圃場での収穫は気候に左右されるため、予定どおりの収穫量が得られていないため、ワイン醸造が遅れている。研究段階としては、やや、遅れている状況である。

今後の研究の推進方策

第一に、ウイルス非感染ブドウ苗の新たな圃場での栽培を複数の場所でスタートしたので、収穫を期待する。第二に、糖度が上がらない原因として、葉巻病随伴ウイルスが感染することにより、収穫期に葉が下向きカールするため、光合成効率の低下を招くことが一つの要因と言われている。葉がカールする原因についても、分子的解析を進める。第三に、2022年秋に収穫したブドウを用いて醸造したワインについて、官能検査と化学分析を行う。また、2023年秋により多くのブドウを収穫し、ワイン醸造を試みる予定である。第四に、栽培については、より安定的な収穫をするために根域制限栽培も試みる予定である。

次年度使用額が生じた理由

天候不順のため、ウイルス非感染甲州ブドウ樹からのぶどうの収穫が予定どおり進まなかった。そのため醸造、及び、化学分析が未だ不十分である。今後、醸造と化学分析のために使用予定である。
また、より安定した栽培を進めるために、根域制限栽培を開始した。そのための土やルートラップなどの購入のために使用予定である。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) 備考 (5件)

  • [雑誌論文] Response and acclimatization of a CAM orchid, Dendrobium Sonia ‘Earsakul’ to drought, heat, and combined drought and heat stress2023

    • 著者名/発表者名
      Taticharoen Thanachok、Matsumoto Shogo、Chutteang Cattleya、Srion Karncharoen、Malumpong Chanate、Abdullakasim Supatida
    • 雑誌名

      Scientia Horticulturae

      巻: 309 ページ: 111661~111661

    • DOI

      10.1016/j.scienta.2022.111661

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 日本古来のぶどう”甲州”の魅力を引き出す― 日本の甲州葡萄酒から世界のKoshu wineへ2023

    • 著者名/発表者名
      三輪錠司・堤内 要・小島晶子・町田千代子
    • 雑誌名

      アグリバイオVol.7

      巻: 3 ページ: 260-264

  • [雑誌論文] Drug Release Stimulated by Magnetic Field and Light on Magnetite- and Carbon Dot-Loaded Carbon Nanohorn2022

    • 著者名/発表者名
      Su Chin-Hao、Soendoro Andree、Okayama Shinya、Rahmania Fitriani Jati、Nagai Takashi、Imae Toyoko、Tsutsumiuchi Kaname、Kawai Noriyasu
    • 雑誌名

      Bulletin of the Chemical Society of Japan

      巻: 95 ページ: 582~594

    • DOI

      10.1246/bcsj.20210436

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Establishment of the optimal condition for shoot regeneration in Vitis vinifera 'Koshu'2022

    • 著者名/発表者名
      Nakagawa A., Kawasaki K., Ando S., Funahashi H., Tsutsumiuchi K., Kojima S., Miwa S., Miwa J., MachidaC.
    • 雑誌名

      Annual Report of Research Institute for Biological Function (Chubu University)

      巻: 22 ページ: 48-56

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 新しいアロマを持つ上質な甲州ワイン醸造をめざして―ウィルス非感染甲州ブドウの果汁成分解析2022

    • 著者名/発表者名
      堤内 要・加藤利企・樋江井大綺・町田千代子・三輪錠司
    • 雑誌名

      アグリバイオVol.6

      巻: 10 ページ: 973-977

  • [学会発表] ウイルス病原性遺伝子を利用した葉形成に関るAYSYMMETRIC-LEAVES2 遺伝子の機能解明2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木崇紀・岩川秀和・安藤沙友里・小島晶子・町田千代子・笹部美智子・栗原大輔・東山哲也・町田泰則
    • 学会等名
      第64回日本植物生理学会年会 宮城県仙台市 (ポスター発表)
  • [学会発表] ウイルスフリー甲州ブドウの果汁成分2022

    • 著者名/発表者名
      堤内 要
    • 学会等名
      日本食品化学学会第28回総会・学術大会(東京ビッグサイト)
  • [学会発表] ウイルスフリー甲州ブドウの果汁成分分析2022

    • 著者名/発表者名
      堤内 要
    • 学会等名
      令和3年度 愛知県農学系4機関による研究交流会(WEB開催)
  • [学会発表] 赤色色素分泌性酵母NYR20を用いた ロゼワイン醸造方法の検討2022

    • 著者名/発表者名
      吉﨑隆之・大田尚也・中村亘輝・山本 覚・岩口伸一
    • 学会等名
      日本ブドウ・ワイン学会(ASEV JAPAN)2022甲府大会
  • [学会発表] 葉の向背軸分化に関わる AS2のAS2/LOBサブドメインの分子的機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      安藤沙友里・野元美佳・岩川秀和・Simon Vial-Pradel1・多田安臣・山本興太朗・町田泰則・小島晶子・町田千代子
    • 学会等名
      日本植物学会第86回大会 京都府京都市(口答発表)
  • [学会発表] AS2 bodyが関わる葉の発生分化における核小体の新しい機能2022

    • 著者名/発表者名
      町田千代子・安藤沙友里・岩川秀和・栗原大輔・東山哲也・笹部美知子・小島晶子・町田泰則
    • 学会等名
      第45回分子生物学会 千葉県千葉市(ポスター発表)
  • [備考] 中部大学ワイン・日本酒プロジェクト

    • URL

      https://pfs.chubu.ac.jp/project/winenihonshu/

  • [備考] 中部大学応用生物学部応用生物化学科 町田千代子研究室

    • URL

      http://www3.chubu.ac.jp/faculty/machida_chiyoko/

  • [備考] 中部大学応用生物学部応用生物化学科 堤内要研究室

    • URL

      https://www3.chubu.ac.jp/faculty/tsutsumiuchi_kaname/

  • [備考] 中部大学応用生物学部環境生物科学科 金政真研究室

    • URL

      http://stu.isc.chubu.ac.jp/bio/public/Environ_Bio/labo/kanamasa_lab/index.html

  • [備考] 中部大学応用生物学部環境生物科学科 小島晶子研究室

    • URL

      https://www3.chubu.ac.jp/faculty/kojima_shoko/

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公開日: 2023-12-25  

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