研究課題/領域番号 |
18KT0055
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 基史 京都大学, 法学研究科, 教授 (00278780)
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研究分担者 |
宇治 梓紗 京都大学, 法学研究科, 講師 (00829591)
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研究期間 (年度) |
2018-07-18 – 2022-03-31
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キーワード | 開発援助政策 / 自由貿易協定 / 貿易のための援助 / 国際政治経済論 / 国際制度 / 計量分析 |
研究実績の概要 |
本研究では、新たな開発援助のスタンダードとして、途上国の国際貿易への参画を促し、経済成長の起爆剤とする「貿易のための援助(AfT)」の有効な実施を支援する上で、「深い自由貿易協定」(FTA)との連携の可能性に着眼し、その効果の分析を進めた。FTAの中でも、一般的な関税・非関税障壁の削減に加えて、商品・安全基準の統一化、投資の促進、知的財産権の保護、経済社会インフラの充実などの内容を盛り込んだ「深いFTA」とそれらの内容に呼応した援助プラグラムを統合することによって、より一層途上国の輸出促進を図ることが可能だとする仮説を構築した。こうしたODAと深いFTAの統合が有用となる理由として、企業を中心にネットワーク化した国際貿易構造において、ただ単に途上国の生産力強化や先進国の貿易障壁の削減を図るだけでは国際貿易への参画を促すことはできず、途上国のネットワークへの参入を制度的に可能にする上記の深いFTAの内容が不可欠である点があげられる。この仮説をパネルデータと操作変数モデルを適用して検証した結果、良好な結果を得ることができ、分析結果を英語論文としてまとめ、令和3年2月に有力国際学術誌に投稿し、返答待ちの状態にある。 上記の論文から派生した新たな切り口として、援助大国(日本、米国、英国、ドイツ、フランス)のODAとFTAの統合状況とその効果を検証することを目指していたが、コロナ感染問題で研究施設の利用が難しくなり、研究期間の一年延長を申請し、認められた。したがって、令和3年度にこの分析を実施し、その結果を研究論文としてまとめることを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」で記したように、5大援助国別の分析がコロナ禍の影響で研究施設が使用できず取り掛かることができなかった。研究期間の一年間の延長を申請し受理されたことを受けて、次年度に分析を実施し、その成果を英語論文としてまとめ、国際学術誌に投稿する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
前項で示したように、本研究計画の残された研究課題とその分析方法とデータは、これまでの実績を通じて明確に定義されており、実施可能な状況である。したがって、次年度では、それを着実に実施し、研究成果を英語論文としてまとめ、国際学術誌に投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に発生したコロナ感染問題によって施設使用ができず、予定していた分析を次年度に行わざるを得なくなった。
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