研究課題/領域番号 |
18KT0056
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
南齋 規介 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 室長 (80391134)
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研究分担者 |
中島 謙一 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 主任研究員 (90400457)
森岡 涼子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業情報研究センター, 主任研究員 (90415323)
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研究期間 (年度) |
2018-07-18 – 2021-03-31
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キーワード | クリティカリティ評価 / 国際貿易 / 希少金属 |
研究実績の概要 |
本年度は,新エネルギー技術や人工知能技術の普及に不可欠な金属資源の中で,その経済的重要性と供給リスクの高さからクリティカルメタルと理解される金属を対象に将来需要予測研究に関するレビューを行いレビュー論文としてオープンアクセス付きで国際学術誌に報告した。48の金属を対象に2030年と2050年の予測需要量の範囲を示し,多くの先行事例が新エネルギー技術普及の視点から需要予測を行っており,人工知能技術の拡大は明示的には考慮されていなかった。しかし,バッテリーや永久磁石から人工知能技術に関係が深いコバルト,リチウム,ネオジム等は電気自動車に関連して比較的予測研究が存在した。 日本のサプライチェーンと金属資源の国際貿易との関係を最新の2015年産業連関表を用いてモデル化するため,2015年産業連関表の部門と日本の貿易商品コードと国際貿易コード(HS92)との対応付けを行った。これにより,国内の最終需要がサプライチェーンを通じて直接間接に依存する金属種について,国際貿易における状態が把握可能となった。一方,金属の国別採掘量を国際貿易による金属フローを説明変数として推計する回帰モデルについては,機械学習の手法を適用するが、学習データとして用いる1995年から2017年までの国際貿易データの時系列変化に明らかに非現実的な見られたため,その機械的な修正方法を検討した。具体的には国別の総輸入量,総輸出量,約5000種の貿易商品別の貿易量の三面で貿易量の差分に着目し,差分を1995年から2017年まで差分の平均値と比較することで、エラーと推察するデータの年次を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,クリティカルメタルの長期予測に関するレビュー論文をオープンアクセス付きで国際学術誌に掲載することができ、人口知能社会の視点からの長期見通しは未だ途上研究であることが再確認できた。最新の2015年産業連関表が公表されたが,その利用を積極的に行い、データ更新に対応できた。3月より新型コロナウイルスの拡大により、参加予定の学会が中止になるなど影響が出始めたが,進捗は概ね順調であると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,2015年産業連関表に対して人工知能の利用拡大に関する金属需要のシナリオ分析を行い,クリティカルメタルに関して将来の国際貿易の状態と接続し,人工知能社会のリスク評価を実施する。医療や介護分野や見守り,安心・安全を支援する分野での利用拡大を通じた金属資源の増加に注目するが,新型コロナウイルス後の社会変化を勘案してテレワーク増加などの影響を織り込むことも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新しい産業連関表データに対応させることで論文化を遅らせたため,英文校閲や掲載費用が掛からなかったことや,3月の国際・国内学会が全面的に開催中止になったことで,参加費や出張に関する旅費の支出を控えることになったため次年度使用額が生じた。次年度には,国際学会への参加やライセンス費用の価格改定,コロナの影響を含むデータ整備に対して費用充当し,円滑な執行を行う。
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