研究課題
本年度は,人工知能技術の普及の基盤となるベースメタルを対象とし,その長期需要予測に関するレビューを行ない,これらの主要金属の世界需要は、21世紀に入っても継続的に増加する可能性が高く、金属によっては約2から6倍に増加する可能性を確認した。また,人工知能技術の普及に関連する経済活動部門を2015年産業連関表から定め,その単位あたり(百万円)需要が国内サプラチェーンを通じて必要とする輸入品を算定した。輸入品は産業連関表の390部門分類で輸入品を同定した後で,国際貿易コード(HS92)に基づき5022品目に細分化した。さらに5022品目別にクリティカルメタル10種およびベースメタル5種の含有を定めることで,人工知能に関連する産業の直接間接的な金属輸入を定量化した。例えば,「電子計算機」部門の誘引する輸入品の上位5つの貿易商品として「HS847191:デジタル処理ユニット」,「HS847330:自動データ処理の部品および付属品、磁気または光学リーダー」,「HS854219:電子回路」,「HS852990:受信・送信装置」,「HS853400:回路:プリント」が同定され,それぞれの金属含有の有無を整理した。また,同様の分析を「電子計算機付属装置」,「パーソナルコンピュータ」部門,「ロボット」部門等にも行なった。また,これらの人工知能関連の必要輸入品について,世界197の国の地域の気候目標に応じた温室効果ガス排出量と社会的および経済的脱炭素指標の違いを考慮した2050年までの世界総貿易量の推計を行なった。気候2度目標に向かう場合,多くの製品が貿易量の低減または現状維持の経路を進むため,資源や製品を高効率な利用を同時に展開することが人工社会技術の普及に肝要と結論づけた。
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