研究課題/領域番号 |
18KT0061
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
畠中 利治 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (10252884)
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研究分担者 |
内種 岳詞 神戸大学, 計算社会科学研究センター, 特命講師 (70710143)
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研究期間 (年度) |
2018-07-18 – 2021-03-31
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キーワード | エージェントベースシミュレーション / 減災情報システム / 遺伝的アルゴリズム / 実験計画法 |
研究実績の概要 |
ある地域を対象とした津波避難シミュレーションを題材に研究を進めている。これは、避難を行う住民をエージェントとしたエージェントベースシミュレーションである。エージェントは、行動規則に従い避難行動をとり、被災後の状況として、通行困難な道路や橋梁の存在が前提である。そのときの避難時間、特に最大避難時間すなわち全住民が避難完了するまでの所要時間に、道路や橋梁の通行の可否が与える影響を調査するものである。すなわち、ある道路や橋梁が通行できないという仮説に対して、最大避難時間を出力としたシミュレーションを行うものである。 ここで、まず、いくつかの仮説をサンプリングし、以後、1)サンプリングした仮説を独立に評価し、それぞれの最大避難時間を得る。2)得られた最大避難時間の分布をもとに、次の評価すべき仮説をサンプリングする。以下、1)と2)を繰り返す手順を考え、その繰り返しから、最大避難時間に対して影響の大きな道路や橋梁の通行状態を見つけることができるか?という問題設定のもとで、得られた最大避難時間の分布をどのように利用すれば、効果的により影響度が大きな仮説がサンプリングできるかを検討している。 2018年度は、仮説のサンプリングに遺伝的アルゴリズムの枠組みを用いて、2つの仮説の組から交叉と突然変異の操作によって新しい仮説のペアを生成することを検討した。この際の課題は、ある仮説(言い換えれば遺伝的アルゴリズムの個体)を効果的に評価する適合度関数の設計であると考え、仮説を遺伝的アルゴリズムの個体として表現する方法と、その評価方法について、これまでの研究を整理してきた。また、その状況や問題の設定を、2度の講演で紹介してきた。 また、この課題に関連して複数のタスクをひとつの個体集団で処理する進化アルゴリズムを検討している。これらについては、基本アルゴリズムの性能評価を行い、研究会で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
代表者の環境変化と分担者の異動が重なり、論点の整理や成果の整理などの共同研究の打ち合わせにを実施する時間が限られていたことで、やや遅れたと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は打ち合わせを密に行う体制を構築するとともに、シミュレーションの実行環境を整備し、研究を加速する体制を確立する。 代表者:畠中は、仮説のサンプリングの観点から、複数仮説の尤度を評価し次のサンプル点(仮説)を生成する過程を状態空間モデルの立場から議論し、分担者:内種は避難シミュレーションにおける遺伝的アルゴリズムを援用した実験計画についての成果をまとめ、論文発表を行う計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
電気学会C部門大会(札幌開催)での打ち合わせが地震で中止になったこと、そののち、分担者の異動関係で時間が確保できなかったこともあり、旅費の支出が大きく減じた。 今年度はIEEEの計算知能部門が開催する国際会議で、関連の発表2件を行うことを計画しており、その旅費等に充当することを計画している。
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