研究課題
CREBH KOマウスは脂肪肝を誘導するメチオニン・コリン欠損食を負荷すると1週間目という早期に肝障害マーカー(ALT, AST)が異常なまでに上昇する。正常マウスであれば、通常12週間程度で脂肪肝を呈するモデルであるが、CREBH KOマウスでは8週間負荷で肝臓は萎縮し、異常なまでの肝障害を呈した。病理像として、肝臓内の脂肪滴はWTマウスと比べ、少なかった。しかしながら、マッソントリクローム染色により肝線維化を評価すると、線維化の促進が観察された。全体的に肝臓の構造に異常が観察された。③MCD食負荷1週間目の肝臓中の遺伝子発現解析したところ、CREBH KOマウスでは脂肪酸酸化を司る転写因子PPARαの発現が著しく低下した。脂肪酸酸化能の低下が想定され、脂肪蓄積が増加していることが想定できる。ノンコーディングRNAの一つであるLong noncoding RNA (lncRNA)のH19の顕著な上昇が見られた。H19はエクソソームに包埋され、細胞間を行き来すること、血中にも分泌され、肝臓以外の組織へ運ばれることがすでに報告されている。その中でH19が胆汁うっ滞性肝障害の原因の一つであることも報告されている。それゆえ、CREBHの欠損がH19の発現を誘導し、肝障害を悪化させたと考えられる。また、さらに、炎症を惹起させ慢性炎症を誘導するサイトカインであるLipocalin 2 (Lcn2)、Osteopontin (Opn)、C-C motif chemokine 2 (CCL2)/Monocyte chemotactic protein 1 (Mcp1)も増加しており、様々な因子が病態悪化に関与することを明らかにした。
すべて 2021 2020 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 備考 (1件)
Cell Mol Gastroenterol Hepatol.
巻: 11(4) ページ: 949-971
10.1016/j.jcmgh.2020.11.004.
iScience
巻: 23(3) ページ: 100930
10.1016/j.isci.2020.100930.
https://www.u-tsukuba-endocrinology.jp/