研究実績の概要 |
本研究は、タイ人デング 熱患者を対象に、分子疫学的アプローチによって、 (1) 重症化と関連する宿主側(ヒト)多型、(2)臨床データと多型データを含めて予後を予測(重症化予測)するためのアルゴリズム(ロジスティック回帰モデルと機械学習)の開発を目指す。 DSSリスクと有意に関連したrs1143623が近傍遺伝子の発現量に与える影響を調べるため、SNPと近傍遺伝子のmRNA発現量の関連を調べた。mRNAのデータはGene Expression Variation projectから、遺伝子型データは1000 genomes browserより取得した。その結果、rs1143623-Gアリルの増加はIL1BのmRNAの発現量の減少と有意に関連していた(p=0.000709, 回帰係数=-0.3633)。 性別、年齢、SNPを変数に含めた複数の予測モデル(ロジスティック回帰モデル、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト)を構築した。ROC解析によって各モデルの性能を評価したところ、サポートベクターマシンの性能が他の二つのモデルよりもわずかに優れていた。現在、デングウイルスの血清型をさらに変数を含めたモデルの構築中である。ただし、クロスバリデーションを本研究で解析したサンプルを使用して行っており、過適合を起こしている可能性は排除できない。そこで、今後は、独立なサンプルセットを使用して予測性能の評価を行う予定である。
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