潰瘍性大腸炎と原発性硬化性胆管炎を肝臓と大腸の病態を制御するマクロ調節機構の破綻ととらえて病態発生メカニズムを検討した。潰瘍性大腸炎モデルでは副交感神経刺激により、大腸炎と上皮細胞の分化障害は改善したが、胆管炎の改善は認めなかった。一方硬化性胆管炎モデルでは抗生剤投与により胆管周囲の炎症細胞浸潤、繊維化が改善し、胆管上皮細胞の増殖刺激が減弱した。サイトカインIL-33の腹腔内投与は胆管の炎症細胞浸潤、上皮の過形成を誘導したが、大腸の炎症や分化異常、腸内細菌数の変化は見られなかった。これらの結果より大腸炎と胆管炎には細菌、サイトカイン、神経などの因子が交絡して影響している可能性が示唆された。
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