研究課題/領域番号 |
18KT0071
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
森田 光洋 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (50297602)
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研究期間 (年度) |
2018-07-18 – 2021-03-31
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キーワード | 活性化アストロサイト / オリゴデンドロサイト前駆細胞 / 脳傷害 |
研究実績の概要 |
前年度までの成果として、脳障害に伴い集積する、神経幹細胞マーカー(ネスチン)を発現する活性化アストロサイトのGFP標識に成功している。本年度は、この系を利用して活性化アストロサイトの遺伝子発現プロファイルの多様性を明らかにすることを目的として研究を進めた。その過程で、活性化アストロサイトの新しい多様性が見いだされたため、遺伝子発現のプロファイル決定とは別に、組織学的手法を用いてこの点を明らかにすることに注力した。その結果、ネスチンプロモーターでGFP標識された活性化アストロサイトの大部分が、アストロサイトではなくオリゴデンドロサイト前駆細胞(Oligodendrocyte progenitor cells, OPC)に由来することが明らかとなった。また、OPCに由来する活性化アストロサイトは、アストロサイトに由来するものとは異なり、グリア瘢痕と呼ばれる、損傷と正常部位の境界に集積する、細胞外マトリックスを豊富に産生する細胞集団を形成することが明らかとなった。これらの結果は、脳傷害に伴い、細胞が分化転換することを示しており、脳の細胞構築を理解する上で重要な理研であるということができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
活性化アストロサイトの類型化を目的として初められた本計画に置いて、予想外ではあるが、活性化アストロサイトの由来が多様であることが明らかとなって。当初から予定されていた遺伝子発現プロファイルを使ったものではないが、研究目的である活性化アストロサイトの多様性の解明という点では十分な成果であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子発現プロファイルに戻り、研究をすすめる。すでに、エネルギー代謝などに関連した遺伝子発現の多様性が示唆されており、これらの点について解析を進めることにより、成果を確かなものにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
現有の設備と試薬を持ちいることができたため、当初予想していたよりも使用額が少なくなった。
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